【映画感想】シドニー・ポワチエ主演「いつも心に太陽を」。ラストまで書きます。(ネタバレあり)
1960年代のイギリスの下町。
貧困層の住むガラの悪い町です。
そこの貧民の子供たちが通う高等学校があります。
ある日、門から入っていく、スーツ姿の黒人がひとり。
シドニー・ポワチエ扮する新任の教師です。
彼は一流の理系の大学を卒業し、一流の会社のエンジニアとして働いていましたが、会社が倒産したか何かで、職を失ってしまいます。
彼には、アメリカの一流企業でエンジニアとして働く、という野望があります。
しかし、何通も履歴書を送りますが、返事は来ません。
人間、ご飯を食べねばなりません。
家賃を払わねば追い出されます。
幸が不幸か、彼は、大学時代に「教職の資格」をとっていました。
「教師という仕事にはあんまり気乗りはしないが、飯を食うていかなアカン。しかたないから、しばらく、先公でもしながら履歴書の返事を待とか」
そんな、ええ加減な気持ちで、黒人のポワチエは、校長先生に挨拶します。
「ああ、君かいな、新任さんは。ほな、君の担当するクラスへ行こか」
校長は、ポワチエをある教室へ連れていきます。
「ああぁぁぁ〜〜〜〜」
とポワチエはココロの中で落胆の声を出したに違いありません。
まともに、椅子に座っている生徒はいません。
男子は、リーゼントに、タバコ。
女子は、お化粧に夢中です。踊っているバカ娘もいます。
要は、不良ばかりを集めたクソ学級だったのです。
「みんな〜、新しい先生やでぇ〜。じゃ、君、あとは頼むわ」
校長は扉を開けて、
「ほなっ!」
とそそくさと帰っていきました。
しかたなく挨拶をしようとするポワチエ。
すると、黒板に向かって、ナイフが飛んできます。
さっそく、不良の洗礼です。
生徒たちはみんな、ポワチエを睨んでいます。
悪意の塊。
https://www.youtube.com/watch?v=EV1qmmMwc9M
ここから、シドニー・ポワチエの戦いが始まります。
あくまで、暴力は使いません。
しかし、合法的に教師の威厳を見せつけていきます。
たとえば、体育の授業では、不良のボス・・・日本風に言えば、
「番長」ですね。
番長とボクシングの試合をします。
「ボクが勝ったら、君、これから、ボクのいうこときいてくれまんな」
「わかったわい。やったろやないか!」
死闘を繰り返し、ポワチエがかろうじて勝ちます。
そこらへんから、生徒のポワチエ先生を見る目が変わってきます。
そして、有名な博物館への遠足シーン。
わざと「スチール写真」のモンタージュだけで構成した演出が素晴らしい。
この遠足で、生徒たちとポワチエ先生の間には、友情とも愛情ともいえない、日本語でいうところの「絆(きずな)」というものが生まれます。
ある日、自宅に帰って、ポストを見るポワチエ先生。
一通の郵便が入っています。
開けてみると、アメリカの有名企業から。
「君をエンジニアとして雇いますので、アメリカへ来てください」
飛び上がって喜ぶポワチエ。
しかし、素直に喜べない陰りがポワチエの表情に見え隠れします。
そして、卒業式。
パーティーが開かれます。
https://www.youtube.com/watch?v=pWulWz8zVc8
クラスで一番可愛い女の子の「ルル」が、「先生に愛を込めて」という歌を歌いながら、ポワチエにプレゼントの箱を渡します。
貧乏でお小遣いもロクにない生徒たちが、お金を出し合って買ったお餞別。
https://www.youtube.com/watch?v=AItHf14sp74
いいシーンです。
曲も素晴らしい。
プレゼントを受け取って、感極まったポワチエ先生は、おもわずパーティー会場を飛び出し誰もいない教室に戻ります。
教壇に座って、「あること」を考えるポワチエ先生。
そこへ、明日から新しい3年生になる不良の男女が、誰もおらんやろ、と思って教室に飛び込んできて「不純異性交遊」をはじめます。
ビックリして、ふたりのチューやモミモミを見つめるポワチエ先生。
女子がポワチエがいるのに気づき、
「あんた!先公がおんで!」
「ほな、逃げよ!」
飛び出していく不良ふたり。
その様子を見て、たちあがるポワチエ先生。
ジャケットの内ポケットから、アメリカの大企業から来た内定書を出し、
まっぷたつの破り、ゴミ箱に捨てます。
そして、プレゼンㇳの箱を抱えて、パーティー会場へ戻るのでありました。
◆◇◆
ここで映画は終わります。
このあと、ポワチエ先生が、どんな人生を送るのか。
説明するのは野暮なので省略。
わたし、初めて観た時、泣きました。
確か、「日曜洋画劇場」でした。
淀川長治の解説も見事だったと思います。
この映画のDVD、なかなか普通のルートでは買えないんですよね。
わたし、裏ルートで買いました。
あ、もちろん合法ですよ。
皆さんも機会があったら御覧ください。
⇑ 興味のある方は「予告編」をご用意いたしました⇑
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