冬のダイヤモンドと木星と火星
夜の12時前に電話が鳴った
バイトしている長男が
忘れ物を届けて欲しいと
二つ返事でOKしたのは
僕にはスイッチが入ってたから
自転車で10分の距離だけど
僕は風呂上がりでパジャマ姿
十二単衣まで厚着して出掛けた
月が出ているけど綺麗な星空で
冬のダイヤモンドと木星と火星
赤い火星に見とれて
電柱に激突しかけたけど
スイッチの入っている僕は
なんなくハンドルを操作して
するりとすり抜けた
「ありがとう。すまない」
「いいや、綺麗な火星を
見られてよかったよ」
帰り道は雲が出て
ほとんどの星を隠した