夏の夕暮れ

鉢植えの姫沙羅は
夏になると葉が焼ける

ひどく焼けた葉をちぎっていると
ブブブブと音をたてて
枝から何かが飛んだ

蝉だった
夕暮れには無口になるんだ

明日朝の大合唱に備えて
休んでるところを騒がして申し訳なく

ゴメンなさい
ゴメンなさい

すぐ近くのオリーブの木の枝に
止まっていた蝉も飛び立った
君らは恋人同士だったか

一緒に勉強すると言って
彼女を連れて来た息子は
部屋にこもったまま

静かだな