あられ
ウォーキングに出ると雨が降ってきた
家を出てまだ500mほど
行くか戻るか迷うところ
上着の袖に目をやると白い粒
あられだった
あられなら迷うことなく行く
さも前々から決めてたように進んだ
「行こか戻ろか迷っている」
前の職場で会長がポツリと言った
一人息子の社長とは仲が悪く
事業をこのまま進めるか
縮小しようか迷っていた
雲行きは西と東で違っている
いつしかあられは雨に戻っていた
もう帰り道だったので迷うことはない
やがて会長は病気で退き
後を追うように社長も病気になった
廃業となって僕ら社員は職を失って
道に迷うことになった