キャッチボール
夏は夜七時を過ぎてもまだ明るい
君とボールが見えなくなるまで
キャッチボールしてたのも
君がまだ幼稚園に通ってた頃だった
母は近所の奥さん達と
延々と終わらない立ち話をしていて
もしも暗くならなければ僕らは
永遠にボールを投げ合っていたはずだ
数年後には僕が手加減しなくなり
そのまた数年後には君が手加減するのを
僕らは知らず
だけど母たちの立ち話は
何年たっても変わらないのを
僕らは肌で感じていた
そして生暖かい風は
みんなを外におびき出して
夏に終りが来るのを
隠しているようだった