見出し画像

本当に苦しい時に、声はあげられるのか

歳を重ねるごと、社会的立場が上がるごと、私たちは心の苦しさを表に出せているのだろうか?
心の叫びとは裏腹に、笑顔を撒き散らし、引きこもりたい思いと裏腹に、積極的に人との関わりを持っていないだろうか。自分の小さな叫びにも似た心の声を無視し続けて…
心身ともに健全である人も、闇という病とは常に背中合わせである。
心の病気は、性格や考え方の違いもあるが、特殊な訓練でも受けていない限り、いつどこで危機に晒されるかは誰も分からない。そして大人は、自分自身の小さな声を無視することをうっかり学習しているばかりに、大ごとになるまで気が付かないふりを続ける。それが今の日本という社会のあり方のように私は感じている。

皆が生きづらいと感じているこの世の中で、大人が子供たちに「この世ではね、これは仕方ないことなの」と話す人がいると先日きいた。
「この世ではね」ということを子供に聞かせるというのが、私にはとてつもなく切なく感じたが、でも大人の私たちでさえもどうすることもできない社会の矛盾や理不尽さを感じるのだから、仕方のないことなのかもしれない。が、次の世はあるのだろうか。次の世はよく話で聞かされる天国のように穏やかなのだろうか。

コロナ禍も2年目に突入し、リモートや外出自粛で、人々が少しずつ少しずつ心のバランスを崩しているように感じている。
まず家から出ない生活、運動量が圧倒的に減り、オンライン上でしか人と会わず、他愛もない雑談もなく、変に気回しをしすぎ、一体この先人との関わりはどのように変化していくのだろう。自分の会社は、スタッフも少なく、どうしてもリモートに向かないことや全員が車通勤のため、希望がある時のみのリモートになっているが、その分メンタル的に正常を保てているようにも感じている。
あえてここで、批判を受けるようなコロナにまつわる話に手をつけるつもりはないが、危惧するべきと思うことはいろいろある。

私は、若い頃にパニック障害を患ったことがあり、その後2度ほど再発をした。でもそれを誰かに告げたことはほとんどなかったし、密かに完治させなくてはならないと思っていた。誰かにバレてしまっては、社会人として失格なのではないかと恐れ隠し通さなければ思ってしまった。でもこの歳になって、声を上げられないことの辛さを1人の人間として、あっていいことなのだろうか?と疑問に思うようになった。自分のことだけでなく、スタッフや友人や家族が声を上げることができず、もし押し殺しているとしたら、きっとどこかにサインが出ているはずなのだ。自分も見えないようでサインを出していたからわかるのだ。
だからそれを、今の時代見逃してはいけない。とても注意深く、周りの人間の微かなサインを見逃さないようにしてあげることができる人間が、もっと増えなくてはいけない。

自殺者の数は、世界で第7位 G7ではトップクラスだ。コロナ禍では、自殺率も上がっている。
こんな世の中だもの。経済的な理由に始まり、孤独感、生きづらさ、ストレス。。。いろんなことで少しずつ気づかないうちに闇が心を覆い尽くすのだ。
これは、誰にでも可能性はある。
ひと事ではない。
特に女性の経済的な打撃は大きく、自殺者は増加しているし、悲しいことに生活のために風俗に身を売る手段を選んだ女性も多いと聞く。
そんな時に、自分自身も含めて声に出せる環境が、周りに作り出せているだろうか?とふと思う。
心が辛いという一言を言える相手がいるだろうか?
そばに寄り添ってくれる友人はいるだろうか?

先日、若者が言った。
「独りじゃないなんて言葉、世の中に溢れすぎていて使い古された言葉なんか使っても、人なんか救えないですよ」と。
とても切ない気持ちにさせられた。
使い古された言葉だっていいじゃないか。
その言葉の音や表面的なことではないのだ。
本当に相手を思うなら、どんなに使い古された言葉であろうと、「お前はひとりじゃないんだ」と大声で言ってやれ。言葉にせずとも体全体で表現してやれ。そうすれば、どんなに古臭く言い回しだろうと、相手に響くものなんだと私は思った。

もはや、そう思う私が古臭いのだろうか。
でも人間なんて所詮、どこまで行っても泥臭い生き物なのだから。
使い古されたなんて、そんなこと本来どうでもいいことなんだ。どう捉えるかは、キミであり、また相手である。
そして私もやっぱり独りじゃないと言ってくれる人がいたら、そんな時それだけで救われるときっと思うのだ。そんな表面的なことしか分からない人が増えてきたから、生きづらい世の中になっているのかもしれない。
人と関わり方がわからない人が増えれば増えるほど、多分社会は息苦しさを増殖していくばかりなのだろうと思うと、この先、自分にやれることは何があるだろうと、今頭の隅でいつも考えているところである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?