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「和泉式部日記」恋多き女流歌人に学ぶ、ハイスペ男性に愛される秘密、3つ。

NHK大河ドラマ「光る君へ」もいよいよ後半戦、ついに源氏物語の執筆が始まりました。
平安時代の一条天皇の時代は才媛の時代、文才・歌才で知られた女性が勢揃いした才媛オールスターの時代です。

ファーストサマーウイカさんが演じる清少納言は、あまりにもイメージ通りの清少納言で、今後ドラマ以上の清少納言は出てこないだろうと思われる完成度なのですが、和泉式部さんも恋多き女のイメージ通り、周囲がなんとなく霞んでみえそうなお色気っぷりで期待を裏切りません。

勝手な想像ですが、和泉式部さんは絶世の美女、容姿端麗というよりは、総合得点で
「好い女」
に仕上がっているタイプな気がします。
彼女は幼少のころから宮仕をしていたらしいので、衣装や物腰が洗練されて会話も上手な雰囲気美人だったのでは…。

同僚の紫式部さんが、
「あの子は天性の歌よみ。素行は悪いけど」
「ちょっとした走り書きには見どころがあるけど、歌は浅い」
「正直言うと、気後れを感じるほどの歌人ではない」
こんな感じの寸評で、一度持ち上げてから盛大に落としていますが、人の容姿には口うるさくて大騒ぎして姿形の品定めをする人が、和泉式部さんの容姿にはまったく言及しないのは、見られないほど酷いわけではないけれど、人目を引くほどでもなく、年のわりには身綺麗にして洒落た女性だったのかしらと想像しています。

じゃあ、どうして和泉式部さんは
「浮かれ女」
と揶揄されるほど、出入り…ではなくて、彼氏が途切れなかったのか。
しかも皇族の敦道親王が、正室と離婚してまで和泉式部さんを選んだのでしょう。

その秘密を知りたくて、「和泉式部日記」を読んでみたところ、なるほど!と気が付かされた、ハイスペ男性(皇子)に選ばれる理由がありました。

モテの理由、1:対等の関係
相手が皇族、しかも皇位継承の可能性もある超大物だとしても、関係は対等をキープ。
「おそばに置いてただけるなら何でもします」
のような、相手を見上げる目線にはならないし、むしろ相手が受けに回るくらい強気でたやすく折れないのは高ポイント。
「なんて素敵なんでしょう!惚れ惚れするほど美しい男性だわ」
と、惚気まくるくせに、心のなかには一線を置いて全てを見せないのは上手な駆け引きの仕方です。
特に和歌の才能があって丁々発止のやりとりができるのは、相手に一目置かせる効果があり和泉式部さんの強みになっていると思います。

モテの理由、2:能動的で率直

平安時代の女性にありがちなのは、受け身の態度。
身分のある姫君は屋敷のなかで暮らして、人に姿を見られないようにするのがエチケットだったのでやむを得ないとはいえ、おとなしく従順に親の決めた結婚をするのが当たり前。
恋は物語のなかだけの話で、自分から異性にアタックするなどとんでもない。
結婚してからも受け身で、
「世間に恥ずかしくない人並みのしあわせ」
をいう名目で、

「あなたは私をどれだけ大事にしてくれるの?」
「幸せにしてくださるのでしょう?」

という態度で、男性の時間やエネルギーを自分に費やしてもらうことが愛だと思っている姫気質タイプの女性が多かったのではないでしょうか。

一方の和泉式部さんは、感情表現が率直で、愛情の裏側に請求書がついていない笑
姫タイプの女性が

「どうしてすぐに連絡してくれないの?」
「私のこと好きじゃなくなったの?」

と、長文LINEを送ってくるのは面倒くさいけれど、率直に

「会いたい❤️」

と言える人は好かれます。
「和泉式部日記」では、最初は社交的な軽いお付き合いで始まった恋が、徐々に関係が深まっていって、
「この人だ!」
と、互いに思いを固める決め手になるのは、嵐の夜に和泉式部が皇子に送った手紙です。
この人ならわかってくれるだろう、という祈りに似た感情を乗せた和歌に恋人が共鳴して、身分の差を超えて
「同志」
の絆につながっていくのが素晴らしい!
人ってそうだよね、と微笑ましく思う名場面です。

今、彼氏との関係に悩んでいる女性さん、女子会で愚痴って回りくどく悩むより、本人に直接言うのが大事。

モテの理由、3:包容力

「和泉式部日記」は、著者の目線で恋愛関係のはじまりから成就までを描いているのですが、恋の相手の皇子の言動を追っていくと面白い…。
皇位継承の可能性もある立場なので、最初は世間体や高貴な身分をはばかってクールな態度をとっているのに、徐々に気を許すにつれてわがままを言ってみたり、嫉妬をしてみたり恋人を困らせてから甘える、現代でもよくある
「ツンデレ」
をしっかりやっている笑

メンヘラぽい言動ですが、当時の敦道親王の境遇を考えるとそれはやむを得なくて、政治的に不遇であっただけでなく、政略結婚で娶された妻とはうまくいかず世の中から弾き出された格好になってしまって、
「八方塞がり」
いやな言い方をすると、尊いだけでお仕えしても見返りがない皇族は肩身が狭い。
日記中には、妻の屋敷の使用人から足元を見られて、軽く扱われている様子がうかがえる場面が出てきます。
これはツラい…。
だから胸の内を吐き出せる相手が必要で、それを受け止められたのが和泉式部さんだったのだろうと思います。

しかし、だからといって、この人しかいない!と決め込んで、正妻が住んでいる屋敷に女性を連れてきてしまうのはやりすぎで、あなたの気持ちは嬉しいから大袈裟にしないでほしい、私は日陰の身でいいのと現実的な身の振りに走らないで、一緒に来てしまう人も凄い笑
結局、激怒した正室は
「里から迎えが来ますので」
と、言い渡して出ていってしまう。

真実の愛の代償は高くて、世間からは大バッシングを受けて逆境に置かれてしまうのですが、日記の最後は
「2人はずっと一緒でした」
で締めくくられています。
屋敷に引き取られてから後の話は一切しないのが、恋多き女の面目躍如で、恋愛事件のあと若くして亡くなってしまった皇子を
「真心で愛してくれた、いい人」
と、伝えたいのだろうなあ、と思っています。
世の中はともかく、私にとって彼はいい人ですと言い切るのは愛以外の何者でもなく、ただ和泉式部さんは愛のキャパがでかかった

まとめ
1:目線は対等をキープ。下からは入らない
2:回りくどい女はNG
3:男性の弱さを抱きしめる

結論:スキャンダルはテレビで見るだけでお腹いっぱいです。


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