日大アメフト監督会見のウソとホントと今後の話
内田前監督の会見直前に考察ブログを書いたところ、会見後にも関わらずアゴラに載せてもらいました。
この記事では、私は監督やコーチも集団や環境の影響下で状況を判断する能力が弱っていたのではないかと書きました。二つの要因として去年優勝している点、監督→コーチ→選手という二層構造で指示がされている点ををあげました。
実際の会見はどうだったか。
正直言ってあそこまで責任逃れするとはという印象も受けましたが、直前に書いた上記要因二点は確認ことができました。
まず、去年優勝していることの影響。内田監督は何度も去年は負け越し4位からのスタートで優勝したという話をしていました。ここ2年くらいは今まで以上に強いプレッシャーをかけていたことが伺えます。少しずつエスカレートしていた可能性もありそうです。
もう一点は指導の二層構造です。全体を通して内田監督は言っていないという回答が多く、井上コーチは言ったがそういう意図ではないという回答が多かったことに気づいたでしょうか。選手を直接指導するコーチは具体的で、監督はコーチほどの具体的な意図はなかったように見えます。監督は強いプレッシャーで望むという意向があり、コーチはその監督の意向を増幅する機能を果たしているかのようでした。ここにもエスカレートの可能性が垣間見えます。
こういった中で、監督、コーチは客観的事実としては(覚えていないことも含めて)いくつもの嘘をついていますが、そこまでの意図では指示していないという部分では主観的には嘘をついていないと本人達は思っているのではないかと考えられます。何かが起きても都合よく過小評価してしまうことも含めて感覚が麻痺していて、我に返った今はそう思うという感覚が近いかもしれません。あれだけ選手の会見内容を否定するかのような話をしながら、監督、コーチ共に選手は嘘をついていないと思うと話していたのは印象的でした。深い混乱状態にある彼らも、ある意味では正常な判断力を失った集団や環境に対する被害者であったようにも見えます。
今後、どうするべきか。
事実関係を詰めていく作業は大事ですが、どこかで平行線になる可能性もあります。監督、コーチらの具体的な指示が確認できなかったとしても、間接的に指示した責任や、選手を過度に追い込んだ責任は問われるべきでしょう。
予防策としては、過度に選手を追い込まないことと共に、指導者を含めた全員が自分達がエスカレートしていないかを常に省みることが重要になります。集団の指導者には関係する社会心理学等の学習を行うことが有効と思われます。誰が悪いということを越えて、システムとして改善が必要になります。