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【あ】あまりにもずぼら(五十音の私)

五十音順で、一日一音を頭文字にあててタイトルとし、内容に沿った自己紹介エッセイを書いていきます。

まあ、ずぼらでしょう。という自覚がある。生活にずぼらだ。他人に迷惑をかけたくないから仕事はそれなりにきちんとやる。基本的に時間や約束は守るし、お金も借りない。ずぼらな人間は面倒なことが苦手だ。他人に迷惑をかけて人間関係がこじれるといろいろと面倒になる。

ずぼらを露呈、というか解放するのは家の中だ。翌日が休みで人と会う予定がないならシャワーは浴びない。ごみ袋は一見ぱんぱんでも限界までねじり込む。ほこりがかなり目立ってこない限りは自主的に掃除機をかけない。排水溝の網に多少髪の毛が溜まっていても水の流れに滞りがなければ取らない。毎日使うリュックは床に置く。トースターの下にパンくずが堆積していっても焦らない。しっかり読んではいないがなんとなく後に大事になってきそうな書類や便りはとりあえずクリアファイルに放り込んでおく。…

一人暮らしの頃はこれで良かった。社会的な自分の姿には影響を及ぼさない範囲で楽をする。お金に困っているとかではなく、単純に手間がかからないので数日間パンとカロリーメイトだけ食べていた時期もある(そのうち眩暈がしたので急いで中華料理屋へ行き栄養を摂った)。

何度か、取れてしまったボタンを付けなおすのが面倒で上から3番目の穴が留まっていないブラウスを着て出かけたこともあるが、デスク仕事だったり人と向かい合う時間が少ないであろう日を狙っていたのでセーフだったはずだ。

しかし結婚して、そうも自由にはやっていられなくなった。夫は結構まめなタイプなので私が見過ごしているあれこれを回収してしまう。床のほこり、コンロ周りにこびりついた油汚れ、トースター下のパンくず、排水溝の髪の毛。そもそも自分がずぼらであると強く自覚するようになったのも、夫と暮らし始めてからである。

毎回、あちゃーと思う。やってほしいわけではなかった。やらせようと放置していたのでもない。それでも結果だけ見ると、私がやらないから代わりに夫がやっているのだ。処理をしている最中の姿、あるいはいつの間にか片付けられた状態を見るたびに「あ、ごめん…」と弱々しくつぶやく。

面倒な作業は減らしたいけれど、いつかやらなければいけないという気持ちも一応は持っている。夫が手をつけるギリギリ前を狙うチキンレースで私はいつも負けている。着手する基準がだいぶゆるいのだろう。

私の基準は、「さすがに」と感じたときだ。さすがに衛生面で不安を感じる、さすがにだらしなさがバレる、さすがに見ていられないレベル、さすがに身体を壊しそう。それでなんとかやってきた。

誰かと一緒に暮らす際は、あらゆる面ですり合わせが必要になってくる。さすがに「そろそろ」くらいで行動を起こせるよう基準を改めなければ。

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※直近3回のヘッダーイラスト、気がついたらすべて「noouchi」さんという方の作品だった。なんとなくテイストが合うような気がして使用させていただいている。これからもお世話になりそうです。

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