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もう、おめでとうが言えない

毎年この季節はなんとなく哀しい。

きっと彼の誕生日を忘れることはなく、そしておめでとうを言えることは二度とない。あの頃、毎年、不器用に祝っていた。あげていたプレゼントは、今思うと冴えない。手作りのものをあげたこともあった。若かった。

別れてから一度だけあげた誕生日プレゼントは、受け取ってはもらえたけどあげないほうがよかったのかなと後から少し後悔した。

しあわせだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに、どうしてひとは変わってしまうのかな。

変わったのはわたしだった。

ひどく傷つけ、それでも許そうとしてくれたことに傲慢になり、都合の良い未来を想像していた。残酷だったと思う。心の拠り所だったのに。時間をかけて失った。良い思い出には、ならなかった。

思い出すと自分の酷さと向き合わなくてはならないので、思い出さないようにしている。だけど、7月は特に、思い出してしまう。ひとしきり哀しんだら、祈る。しあわせでいてくれるといい。きっとしあわせだと思う。

ああ、もう二度と会わない、誰かのことを考えるのは、なんて無駄な時間なんだろう。

もっと自分のことを考えよう。

わたしの未来。過去ではない、今と、未来のことを考えて生きよう。


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