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【マーケター向け】TikTokには無くて本家中国版TikTokの「抖音(douyin)」に有る限定機能や数字について

今回はマーケターの皆さんに向けて、日本のTikTokではなく、本家中国の中国版TikTok「Douyin(抖音)<ヨミ : ドウイン>」の状況とビジネスシーンでの使われ方をお伝えしようと思います。5,500文字程度あって恐縮ですが、この記事を見るだけでおおよそ中国版TikTokの進み具合を十分理解できると思います。

Douyinでの限定機能や使われ方から、これからの日本のTikTokマーケティング、ビジネスシーンでの活用を考えて行きたいと思います。Douyinを使えば使うほどワクワクしますよ!公開から4ヶ月経過した今も毎月多くのアクセスを集めておりTikTokの注目度の高さを感じています。※ 都度アップデートを入れております。

国民的女優が突如TikTokに降臨

8月も終わろうかという時期に突如公開された以下のTikTok動画を見た方も多いのではないかと思います。

国民的女優の石原さとみさんがTikTokに降臨されたんですよね。所属事務所が同じホリプロで人気TikTokerでもある小西詠斗さんのアカウントにて舞台現場での撮影されたようですが、石原さとみがTikTokに出るというのは衝撃がありますよね。
日本ではまだ芸能人やモデルがTikTokのアカウントを持つことは少なく、ようやくYouTubeに進出している段階かと思いますが、中国ではDouyin全ユーザーのうち約12%が芸能人ユーザーで、その数はおよそ6,000万人も利用しています(※MAUベース)。まずは、Douyinの数字を中心として概要に触れていきます。

Douyinの数字的な概要

「抖音(Douyin)」とは、ショートムービーアプリ「TikTok」の中国本国オリジナルアプリの名称です。まずTikTokはオリジナルのDouyinと日本で展開しているグローバル版の2種類のアプリがあります。オリジナルとグローバル版では別アプリかという程に機能が異なります。※後ほど紹介します

TikTok同様にDouyinを運営しているのはBytedance(字节跳动)社。
2019年1月時点、DAU(1日のアクティブユーザー数)は2.5億人で、MAU(1ヶ月間のアクティブユーザー数)が5億人。2018年1月時点のDAUは3,000万人なのでわずか1年で8倍に成長をしています。

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Douyinの利用ユーザーは、21~25歳のユーザーが最も多く50%を占めている。ユーザー割合の半数49.1%は一般のユーザー、次に34.3%がYouTuberやライバーのネット上のインフルエンサー、次いで12.6%が芸能人・歌手、最後に3.7%が企業などとなっています。 ※参考:CLARA ONLINE
日本の場合、僕の感覚で恐縮ですがおよそ70%は一般ユーザーにあたるのではないかと考えています。

年齢セグメントでは「35歳以上~」とされているので具体的な年齢が見えないのですが、実際には50代以上でネットから100万人フォロワーを優に超えるインフルエンサーになっている方も数多くいるのが日本とは異なり面白いポイントです。日本でもオジサマ、御姉様方に寛容なネット社会になったらさぞ面白いんだろうなぁと思います。

時価総額がソニー以上…運営のByteDanceについて

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日本人には馴染みのないByteDance社は、TikTokの普及とともに徐々に認知されてきてはいるものの、よく分からないのが正直なところだと思います。
2012年の設立から7年わずかしか経っていないByteDanceは、時価総額780億ドル(8兆5000億円)の世界最大のスタートアップ(ユニコーン)企業です。

世界最大と言われたら凄いのは言葉から察するもイメージしきれないという方に向けて、日本企業を並べて見ます。
NTTドコモ 8兆9000億円
ユニクロのファストリ 7兆円
リクルート 5兆4000億円
任天堂 5兆3000億円 
これはやばいなとイメージができたかと思います。とんでもない規模。

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わずか7年で急成長をしているByteDanceはテクノロジーに非常に優れた企業で、Toitiaoという中国最大のコンテンツプラットフォーム(Gunosyやスマートニュースが類似)の運営を行っている他、サンドイッチマンのCMでも記憶に新しいBUZZVIDEO、カメラアプリのU likeなど数々のサービスを運営しています。
2017年末には、同じくショートムービーアプリのMusica.lyを驚きの10億ドルで買収し、TikTokと統合。2018年には自社開発のスマートフォンの噂があがるなど話題につきない企業です。そんなByteDance社は、TikTokにおける日本市場は非常に重要とした上で2019年はクリエイター育成プログラムに5億円を投じるとまで公言し、現在に至っています。

Douyinの上位KOLを知ってますか?

中国ではインフルエンサーという言葉ではなく、KOLまたは網紅(ワンホン)という言葉で浸透しています。
日本でもYouTubeやInstagram、TwitterやMixChannel、Vineなどで様々なインフルエンサーが生まれ続けていますよね。
それらSNSの中でも特にフォロワー数や認知度の高いのは、YouTubeを主な活動場所としているクリエイターの「HIKAKIN」や「はじめしゃちょー」でそれぞれメインチャンネルは登録者は800万人ほどです。

ことDouyinでのランキングを覗いてみましょう。

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1位は中国の俳優・ミュージシャンのチェンさん
2位は中国の女優・のディルラバさん
3位はアニメキャラの一禅小和尚  参考:KOL Ranking

トップ陣へのDouyinでのタイアップ費用はおよそ1,000~3,000万円ほどの発注費用となる模様です。※15秒~60秒など投稿秒数によって変動あり
これには日本トップのお二人もびっくりな価格になります。彼らのタイアップの場合はYouTubeでの納品になるため、当然60秒の納品ではなく、5~10分の動画になるため費用感が大きく異なってきますね。

Douyinの機能、日本のTikTokとの違い

オリジナル版とグローバル版の違いは別アプリというのが頷けるレベルに異なっています。大きなところで、Douyinには以下の機能があります。

(1)生放送 Live機能
投げ銭あり、コラボ生放送あり、ファンクラブあり
(2)動画にEC(淘宝網、Tmail天猫)機能
(3)店舗ページ

それぞれ一つずつ細かく見ていきましょう。

Douyin限定機能(1)生配信 Live機能

日本のTikTokでもメニューを開くと長いこと「残高」(以前までウォレット)というページがあることからよく実装が噂されているLive放送機能。

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ByteDanceはこのLive配信機能を、投げ銭で競うショー型のモデルと一線をおいたファンとのコミュニケーションツールと位置づけて機能つけています。そのため視聴人数/時間でのランキングは存在するものの、課金額でのランキングは存在しません。あくまでもインフルエンサーとして活動する上で最適な方法として取り入れていると考えるとByteDanceは流石だなと本当に思います。

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中国人は社交的でお喋りを好む国民性である故リアルタイムでの交流は需要が高く、中国のインフルエンサーによる収益の約70%はLive配信という背景もこのLive配信機能導入に強く影響していると考えられます。実際、都市部で移動している人の多くはテレビ電話や通話、音声チャットでのやり取りをスピーカーで行っているのを見かけます。

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このLive配信機能は、インスタライブのようなUIで、ステッカーを贈ることで投げ銭を得ることが可能です。
またファンクラブの機能もあり投げ銭とは異なる加入費用を受けることも可能になっています。YouTubeメンバーシップやTwitchのドネーションに似ています。
Live配信機能が追加された時期に、どれだけフォロワーがいるか否かは初期段階で大きなアドバンテージになってくるので、競合の少ない今いまから仕込んでいくことをオススメします。

Douyin限定機能(2)EC機能

個人的に一番注目しているのがこのEC機能です。楽しみな未来しか考えられなくて毎度興奮できます。フォロワー数の大小関係なしにEC機能を十分に活用できるインフルエンサーは一流だと思っていますし、そのための準備は必要だと思っていますが、機能実装後にはいよいよ必須になると考えています。

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アリババグループのECサイト淘宝網(TaoBao)と天猫(Tmall)や、京東(JD.com)、寺庫(SECOO)がDouyinが連携しているので、動画内のアイテムをそこで売っている商品と紐付ける事が可能になる。
憧れのあの人と同じアイテムを買うことも出来るし、使用感がイメージしづらかったものを動画で確認して購入なんてことも可能。ECサイト側で売上の一部がクリエイターに還元されるアフィリエイトのようなイメージでクリエイターはマネタイズが可能。
クリエイター自身がプロデュースする商品の販売もスムーズに行う事が出来るため、ショートムービーの体験でD2Cが加速することが考えられます。
インスタでのショッピング機能が話題ですが、ショートムービーではそれ以上の力を持っていると考えています。本当に面白そう。
日本で考えると連携するECは、楽天かメルカリかBASEかAmazonなのか…。

Douyin限定機能(3)店舗ページとPOI

TikTokで美味しそうな映像を見たり、きれいな景色を見た時に「ココはどこだろう?」と気になり、コメント欄で情報を探した経験がある方もいるのではないでしょうか。個人的にこの機能を使って楽しみを探したいと思っています。例えば以下のような映像を見たら気になりますよね。

この機能は、ぐるなびや食べログにある飲食店毎のページのイメージが近いです。位置情報の登録でページの作成と運営が可能になります。

POI = Point of Interest:「地図上の特定のポイント(地点)」のことを呼び地図上で表現できるポイント(地点)であれば、世の中に存在するあらゆるものが POI になりえます。 参考:esriジャパン

POIという概念は中国のO2Oでよく使われているのですが、要は認識されている場所のことを指しています。

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日本のTikTokでも一部機能は既にありますが、Douyinでユーザーが動画をアップロードする際に対応するPOIを指定する事で、店舗ページへ視聴者を誘導可能かつ、クーポンの配布も可能になっています。店舗にて動画を投稿するとユーザーにクーポンを配布する事も可能です。

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日本でもいくつかの店舗は飲食店を中心に導入をしています。まだ店舗ページでのクーポン機能は実装されていませんが、別タブ(※)でクーポンがあるのでこの中のDouyin限定機能の中で導入が一番速い気がしています。

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※検索窓で「クーポン」と入力すると確認ができます。

今後、日本でもDouyin同様の展開に備えよう

ここまでDouyin(抖音)とはどういうものかと細かく紹介していきました。
今TikTokの日本でのMAUは1,000万人ほど、DAUはおよそ500万人ほどであり、まだまだ先行するYouTubeやInstagramやTwitterのほうが圧倒的にユーザーが多い状況で、日常生活に浸透しています。
※YouTube…約6,000万人、Instagram…約3,000万人、Twitter…約4,000万人人数こそまだまだ及ばずですが、2017年9月のリリースからの浸透速度でいうとTikTokの勢いは眼を見張るものがあります。

Instagramの初期こそ、若い女性たちに「おしゃれに加工できるアプリ」として浸透し初めてから徐々に幅広い年齢層の利用者が増え、ビジネス展開されて現在でもユーザー数を伸ばしています。

TikTokも同じように、若者にイケてるリップシンクアプリという浸透から始まり、幅広い年齢層やジャンルの利用者層が増えている段階になっています。このあとに生まれるのが、ビジネスシーンへの登場になる可能性が十分にあると考えてもおかしくないと思っています。

まとめ:TikTokの未来にワクワクしませんか?

おさらいしましょう。中国でオリジナルに展開されているDouyinを機能面含めて紹介してみました。中国のDouyinを中心に動いている展開は、日本のTikTokの少し未来を見ているようだと考えられます。

・Douyinの数字的概要からみるTikTokとの違い
・ByteDanceはテクノロジー企業であり世界最大のユニコーン企業
・Douyinオリジナル機能の紹介
・今のDouyinはTikTokの未来の姿

僕が下にある「駆け出しYouTuberほどTikTokを使おう!」という趣旨の内容を書いたのも、実は本当に伝えたいのは今回の記事を含めて、TikTokというのは未来があって、ByteDanceというスーパークールな企業が日本市場を重要視して取り組んでいるんだから、全企業のマーケターさん、クリエイターさんらTikTok使おうよ!という事でした。

4本目の記事も最後まで読んでいただきありがとうございました!記事へのご要望がありましたら是非コメントまたはTwitterまでご連絡ください。また、noteへのスキも励みになりますので、ブクマ代わりにでもポチっとしてもらえたら嬉しいです!

それではまた次回の記事にて!
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