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【自己紹介記事】ソーシャルワークと料理が紡ぐもの 想う気持ちの連鎖

 自己紹介欄にも書いているけれど、僕はソーシャルワーカーだ。ソーシャルワーカーとは、社会の中で生活への困難さや生き辛さを抱えている人たちに対して、その困難さが軽減するようにその人自身に働きかけたり、その人の周囲の環境を調整したりする人たちの事である。普段は障害者支援をメインフィールドとして、関わる人一人ひとりの過去・現在・未来を応援している。

 「過去・現在・未来を応援している」っていうのは、僕のソーシャルワークの根幹なので、もう少しだけ具体的に説明したい。

 例えば、過去に辛いことがあった人に対してその辛い過去を一緒に浄化するサポートをしたり、現在も「こうあるべき」という「べき思考」に囚われて心を自由に生きられない人に対して、自分を縛っているその「べき思考」の原因を一緒に探ったり、未来に希望を感じられない人に対して、その人の強みを見つけたり引き出したりして「こうなりたい」っていう自己像を見つけられるようにサポートすることを意味している。

 大事なのは、「応援する」というワードに、辛い局面にいる誰かをゴールに向かって鼓舞するような、力強い意味は込めていないということ。そうじゃなくて、まずその人の人生を認める。僕自身がその人自身の可能性を信じて、それによってその人自身が自分の可能性を信じられるようにする。信じる気持ちの連鎖を作る。そして、その人自身が、自分自身の人生に意味があると感じられるようにする。そこに勝ち負けや成功、失敗といった価値観は存在しない。だから「応援する」より「勇気づける」の方が正確かもしれない。その人がその人らしい人生を歩めるよう勇気づけたい、そう思って日々働いている。

 そのためには、他者への想像力が必要だ。その人にはその人のこれまでの人生があって、現在に辿り着くまでに、僕にはとても想像できない、抗うことのできないどうしようもない人生の流れに飲み込まれたのかもしれない。一見、その人が自分自身で選択したように見えることでも、何か止むに止まれぬ事情があってそうせざるを得なかったのかもしれない。

 「想像できない」ということを想像する必要がある。自分には自分だけの物差しがあることを前提に人と接し、僕自身がそれまでの人生で獲得してきた物差しで誰かの人生の価値を判断しないようにすることが必要だ。僕は「日本人」の、「男性」で、「関西出身」で「ゆとり世代」の「夫」であり「父親」だ。自分のこの歴史、属性は剥がれることはなく、そこから影響を受ける何かしらの価値基準は自分の中に絶対的に在り続ける。それが在るということに対し意識的であることが大切で、それができて初めて、他者に対しての想像力が発揮できるのだと思う。

 「想像力」の「想」はおもいやるという意味だが、最近何かとこの漢字がキーワードとなり、自分の思考を繋げてくれる。

 僕は料理が趣味なのだが、僕にとっては料理にも「想」が大切だ。料理のあり方はさまざまで、レシピ通りに手の込んだ綺麗な料理を作ることこそが料理という考えもあると思う。でも、僕はそういうふうに料理はしない。する時もあるけれど、日常ではしない。レシピは参考にする程度で、分量を1mgまで正確に計るようなことはないし、材料や具材が足りていないくても「まぁ似たようなものできるやろう」と持って気にせず作る。

 手の込んだ料理をレシピ通りに作ることではなく、毎日の家庭料理を自分や妻の体調を考慮したり、妻の「美味しい」と喜んでくれる顔を想像しながら作ることが好きなのだ。今日はちょっと暑くて鬱陶しいからお酢を足そうとか、寒くて体と心が寂しい気がするから少し塩気を足してほっとする味にしようとか、妻も僕も酸味が好きなのでケチャップ足してみよう、とか。

 これには、想像力、「想」を使う。妻と自分の体調を思いやる、料理を食べるそのひと時だけでもそっと心を鎮めてほっとしてほしい。料理することは人を大切に想うことだ。そのためにはレシピ通りの綺麗な料理は必要ないと思う。

 先ほど、僕がその人を信じることで、その人が自分自身を信じられるようになってほしい、信じる気持ちの連鎖を起こしたいと書いた。料理では、想いのこもった料理を頂いた人は、きっと他の誰かにもその頂いた想い、大切にされた感覚を持って接することができるんじゃないかと思う。そういう風に、大切にされた気持ちは連鎖していくんだと僕は思っている。

 この辺りの話は料理家の土井善晴先生にとても大きな影響を受けている。興味がある方はぜひ先生の著書を読んでみてほしい。難しい書き方はされていなくてすっと読みやすいし、何より一言ひとことがとても優しくて温かくて、読んでいてほっとした気持ちになる。そう、僕も先生から想う気持ちの連鎖を受け継いでいるのだ。

 僕は、想う気持ちを連鎖させていきたい。このnoteではソーシャルワークと料理を取り上げたが、何に対してもそう思って取り組んでいる。noteを書くこともそうだ。だから、読んだ人がほっとしてくれるようなnoteを、これから少しずつ書き溜めていきたいなとおもう。

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↑産後の妻が「美味しい、美味しい」と言ってよく食べてくれた黒豆チーズトーストと黒胡麻はちみつ豆乳ラテ。どちらも産後の鉄分補給のために思いつきで作ったもので、レシピはない。

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