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市内RPG 47 勇者の発声練習
ぼくら、レベル11の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。
1か月後に開かれる「小原合戦記念武道大会」では、優勝者に賞金10000円と退魔の剣が与えられることを知って、レベルアップのために「花盾山」で修行中。しかも「天狗」と。
「天狗」は、僧侶カナのおじいさんのお兄さんである。いろいろな達人らしく、いばる。だから、天狗、、、。
天狗は、昼食を食べ終わったぼくらにこう言った。
「まだまだ、これじゃ試練には立ち向かえんぞ」
「試練?」カナは目を輝かせた。
「明日は、修行終わりの3日目だからな」
「強くなったとは思えないけど」魔法使いヒラは自分の手を見ながら言った。
「なあに、これからじゃ」
「まだあるの?と言ってもボートを漕いだだけだけど」戦士ヤスも言った。
「さて、午後の部を始めるぞ。ボートに乗って」
「えーーーーー」みんな不満そうだったが、逆らえそうにはなかった。
「ボートを漕いで、池を1周する。ここにボードを掲げるから、、大きな声でそれを言いながらまた1周するんじゃ。まあ、いわゆる発声練習じゃな。ボードは何パターンもあるから、気を抜くなよ」天狗は、ボート乗り場にいすを持ってきて、そう言った。
ぼくらは、池の周りをボートで1周してきた。ボート乗り場に、スケッチブックが立てかけられていた。
『生麦生米生卵はぜんぶ生だから火を通せ』
「大きな声で、はっきりとーーー!」天狗が叫んでいる。
「生麦生米生卵はぜんぶ生だから火を通せーーー」
「声が小さいーーー」
「生麦生米生卵はぜんぶ生だから火をーーー」
「もっと早くーーー」
「生むぐっ」
「かむな、まだまだーーー」
「次は、これじゃーーー」
『赤パジャマ青パジャマ黄パジャマはどれも派手パジャマパパパジャマじゃな』
「力をふりしぼれーーー」
『東京特許許可局行きのバスガス爆発はフェイクニュースなう』
『かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ、むぴょこぴょこ、さらに合わせてくぴょこぴょこ、もっと合わせてじゅうにぴょこぴょこ、またまた合わせてじゅうごぴょこぴょこ』
早口言葉は、夕方まで続いた。
「腕と足と腹と口が、、、、」
「2日目終わりー」天狗は原チャリで帰っていった。
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