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市内RPG

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福井丘県子郡市。市役所発の魔王討伐に、高校生勇者がゆるーーく挑む。不定期連載中。
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#小説

市内RPG 63 闘技場に立つ 

戦士ヤスと魔法使いヒラ、僧侶カナ、勇者のぼくは、闘技場に立った。 闘技場は、体育館の半分。バスケットコートと同じ広さである。 いや、バスケットコートである。 白い帽子をかぶり、紺のスーツを着たおじさんたち4名が、審判のようだ。 3名以上が戦闘不能とみなした場合に、退場が告げられ、全員が退場すれば負けである。 「こちらに並んでください。」 主審のおじさんが、紅白の旗で、整列する場所を指し示した。 ぼくらは、少し緊張しながら、整列した。 馬場たちと対面して、並ぶ。 「あほ

市内RPG 59 カッパに出会う

早いもので土曜日になった。 いつもの二師鉄子郡駅前に集合した。 「大穂駅の改札にこいつが引っかかって、大変だったーー。」 戦士ヤスは、ベリービッグコンパスを担いできた。 「どんどん武器が大きくなってるから、気を付けないとね。」 魔法使いのヒラは、6色ペンの杖を振り回しながら言った。 「そう、そう、周りにも迷惑だから気を付けてよね。」 僧侶のカナも、それに同調した。 4人、そろったので、今日の行き先を決めることになった。 「もう来週が武道大会よ。装備も新しくなったし、力試

市内RPG 58 ライバル再び

ぼくら、レベル16の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。 今日は、「シックスバリュ」でお買い物だ。 装備を買い終えたところで、声をかけられたのだ。 「装備ばっかり立派でも、魔王にゃ勝てないぜ。」 振り向くと、4人組が立っていた。 背の高い馬場、カリアゲ女子のルミ、日焼け坊主の井上、太っちょメガネのライト。 コイツらも勇者一行なのだ。 「あら、あんたたち、まだ勇者やってたの?」 ル

市内RPG 17レベル8

蛙神社で青いウシガエルを倒したぼくらのパーティーは全員レベル8になった。 戦士ヤスは相変わらず呪文を覚えない。 勇者のぼくは、火の呪文アツッと回復呪文ナムーを覚えていた。 しかし、今回のレベルアップでは何も覚えなかった。こんなこともあるのだ。 魔法使いヒラは呪文がそろってきた。 火の呪文アツッと強化呪文メチャアツッ。 水の呪文ツメタ。 雷の呪文ビリー。 どれも攻撃魔法だ。しかもビリーは金縛りの効果も期待できる。 僧侶カナも呪文が増えた。 回復呪文ナムーとその全体呪文ナ

市内RPG 26武ん防具コーナーにて

ぼくら、レベル9。戦士、勇者、僧侶、魔法使いのパーティーは、魔王を追って、エオンショッピングセンターに来ている。 そして、『武ん防具コーナー』で買い物の途中である。 いろいろ見て回って、残高とみんなの総意によって、購入する物を決めた。 買い物は、もちろん買い物アプリpaipai。魔物を倒したお金もここに貯まるしくみになっているのだ。 「ぜったい買ってほしい。買わないと、もう戦わない」 なんて言っていたのは、戦士ヤスだ。 戦士は呪文を覚えないから、装備品を買うことで

市内RPG 53 ほこらの奥

ぼくら、レベル11の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。 1か月後に開かれる「小原合戦記念武道大会」では、優勝者に賞金10000円と退魔の剣が与えられることを知って、レベルアップのために修行することに決めたのだ。 僧侶カナのおじいさんのお兄さんの「天狗」の修行を乗り越え、試練のほこらに挑んでいる。 「メダルスライムが襲ってこなくなったわ。」僧侶カナが言った。 「ぼくらにかなわないと思っ

¥100

市内RPG 54 天狗との死闘

ぼくら、レベル11の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。 僧侶カナのおじいさんのお兄さんの「天狗」の修行を乗り越え、試練のほこらに挑んだのだ。ほこらの奥から、牛の置き物を帰ってきたところで、天狗にそれを奪われた。 「返して、天狗さん。」カナは叫んだが、天狗の目が青く光って、聞く耳をもたない。 「ほこらに入るときは、ただのじいさんだったのに。」戦士ヤスがマもの星竿を構えながら、言った。

市内RPG 55 レベルアップアップ!

ぼくら、レベル11の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。 僧侶カナのおじいさんのお兄さんの「天狗」の修行を乗り越え、試練のほこらに挑んだのだ。ほこらの奥から、牛の置き物を帰ってきたところで、青くなった天狗にそれを奪われた。戦っていたら、突然、天狗が倒れたのだ。 「これはどうしたことじゃ。」 天狗は、仰向けになって、空を見上げながらつぶやいた。 天狗の色が人肌に戻っている。 「まだ気分

市内RPG 56 シックスバリュへ

ぼくら、レベル16の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。 花盾山で、メダルスライムをたくさん倒した修行の帰り、戦士ヤスがこう言った。 「明日、エオンに武器を買いに行かないか。」 次の日、10:00。二師鉄子郡駅集合。 「エオンにはこの前行ったじゃない。他の所へ行こうよ。」僧侶カナが提案した。 「いいけど。どこ?」魔法使いヒラが尋ねた。 「シックスバリュよ。」 「シックスバリュ?あそこに

市内RPG 57 新しい武器と防具

ぼくら、レベル16の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。 報酬も貯まったので、昔はスーパー、今は6属性の武器防具店の「シックスバリュ」に来ている。 それぞれが買い物をして、出口に集まった。 まずは、戦士ヤス。レベル16。 武器:マもの星竿から、ベリービッグコンパスに。 武器として開発されたコンパス。グリップから二股に分かれた槍と斧が敵に強烈なダメージを与える。 防具:金色の麦藁帽。金色