【年齢のうた】GOING STEADY●22歳の峯田が叫んだ!「30歳以上を信じるな」
2023年が終わろうとしています。みなさま、お世話になりました。
今年3月から始まったこのnoteを読んでくださったすべての方、本当にありがとうございます。2024年も続きますが、ちょっと違う展開も考えているところです。
引き続き、よろしくお願いしますね。
21日に発症した腰痛は、徐々に収まってきました。おとなしくしてた甲斐があった。年末の大掃除も免除してもらい(カミさんに感謝)、なるべく静かに過ごそうとしてます。まあ仕事は年始すぐに始まるけど。
今は紅白をなんとなく見ながら書いてます。カミさんが10-FEETの出演に狂喜してましてな。
テンフィは、バスケ日本代表、劇場版アニメのスラダンと原作の井上雄彦先生、そしてThe Birthdayと亡くなったチバユウスケにリスペクトを示すなど、かなり熱いパフォーマンスだった。
このnoteでスラダンのことをちょっと書いた時もありました。
MAN WITH A MISSIONとmiletのコラボも迫力あった。
下記は先日、僕が書いたライヴレポです。
で、このへんの人らが番組のオープニングで首振りダンスとか、め!をやってたのは笑いました。
にしても大晦日のスポーツ新聞に載ってた紅白歌合戦の出演者の表で、10-FEETの欄の写真がベースのNAOKIになっていたのは、初出演者あるあるですかね……。
ついでに。各出演者からの読者プレゼントがサイン入りだと、こういう場の大切さを理解しているなという印象を受けます。
そんな2023年最後の【年齢のうた】は、ゴイステの「DON’T TRUST OVER THIRTY」についてです。
若きゴイステからのメッセージ「DON’T TRUST OVER THIRTY」
GOING STEADYの「DON’T TRUST OVER THIRTY」は、このバンドのデビューアルバム『BOYS&GIRLS』の1曲目。1999年11月のリリースである。
当【年齢のうた】では過去に、峯田和伸がゴイステの次に始めた銀杏BOYSによる「十七歳」と南沙織のカバー「17歳」について取り上げている。
今回の「DON’T TRUST OVER THIRTY」は、彼がその前に組んでいたバンドの曲になるわけだ。
そしてこの曲名が引っかかる。ムーンライダーズがその10年以上前につけたアルバムのタイトルと同じだからだ。
このライダーズの作品についても以前、連投で紹介した。
ムーンライダーズの世界とはそこまで近くなさそうな峯田が……いや、そうでもないか? ともかく、この言葉をどういうところで知ったのか、気になるところである。
さて、ゴイステの「DON'T TRUST OVER THIRTY」。
爆音である。パンク・ロックである。
そして歌詞では、青い激情が爆発している。
峯田(当時の表記はミネタカズノブ)による歌詞は、生き死にについて問いかけるところから始まりながら、具体性、意味性に寄った描写をあまりしていない。
ただ、自分たちが生きること、生きていることを叫び続けていて、しかしその生の感覚にどうしようもない何かが宿っていることが伝わってくる。いつの日か笑えるように、ということは、自分たちは心から笑えない日々を送っているということである。
そして最後に、曲名を同じ英語の言葉……「30歳以上を信じるな」である。
僕の見方では、主人公は生きていることにしんどさ、虚しさ、せつなさ、悲しみを抱えていて。それには、30歳以上の人間……もっと言えば大人たち、この社会、世界を作ってきた連中のやってきたことに理由があると認識しているように感じる。
この時の峯田は21歳。アルバム発売の翌月に、22歳になっている。
つまらない大人たちのことを嫌う、敵視するような若者だったということだろうか。
僕はこの翌年、2000年のRISING SUN ROCK FESTIVALでゴイステを初めて見て、その全身全霊のパフォーマンスに驚いた記憶がある。
その後に峯田がやって来たことにはあっけに取られっぱなしだった。それは銀杏になってからも続いている。
大人の年齢になった峯田によるセルフカバー「大人全滅」
銀杏BOYZになって、ずいぶん経った2020年。デビューから20年と少し。メンバーも、バンドとしての形態も大きく変わり、峯田は役者としても人気が出たりした。しかし彼がやっていること、唄っていることはほとんど変わらない。青くさくて、まっすぐで、愛というよりもずっと恋をしているような男。
そんな彼が、コロナ禍の間に先ほどの曲を改作して、銀杏の曲として発表したのである。
タイトルは、なんと「大人全滅」。
壮絶である。あの曲は、よりノイジーになり、より轟音になっていた。
この曲について、次のインタビューではこう語っている。
――今回のアルバムではそんな『DON'T TRUST OVER THIRTY』を、新たに『大人全滅』としてセルフカバーしていますね。
うん。元々は銀杏が今のサポートメンバーになってすぐ、4年前ぐらいから歌ってたんですよ。
2016年にKING BROTHERSと対バンした時にはもうやってた。単純に当時レパートリーがまだなかったから、昔の曲で今やれるのないかなと思って。
昔書いた曲で、もうちょっと今の気分と違うな…みたいな曲っていっぱいあるんですけど、この曲は一周して歌えるなと。
――『大人全滅』では、最後の「ドント・トラスト・オーバー・サーティー」の叫びが、「You Have Your Punk I Have Mine」に変わっていました。
そうね。『DON'T TRUST OVER THIRTY』つくった時、俺20歳だったからさ。大学3年。
あの当時のまま歌うよりかは、何かないかなと思って。
――「お前にはお前のパンクがあるし、俺には俺のパンクがある」っていうメッセージ、いいですね。
パンクは最近、めっちゃ聴いてます。やっぱりパンクはいいですね。
アラフィフになった峯田。僕は彼の音楽が好きだし、彼という人間がやろうとしていることを嫌いにはなれない。ただ、時に、まだ子供っぽいようなところが見られるのがちょっと気になったりする。具体的に挙げるのはやめておくが。ただ、それはものすごく彼らしいと思うし、若かった頃のあの感覚をまだ手放さず、それどころか抱えたまま生きていることの証だとも感じる。
きっと峯田はこのまま生きていく。それが彼の生き方なのだと思う。
ところで、DON'T TRUST OVER THIRTYについて。先ほども書いたように、この言葉にはムーンライダーズの回で詳しく触れた。
その調査を進めたところ、『いちご白書』という小説、そして映画が、まさにその時代のアメリカの大学内での学生たちの闘争を描いていることに行きついた。この映画はずいぶん前に録画していたが、あらためて観てみて、ハードな内容に心を揺さぶられた。学生紛争に突っ走る若者たちが、命がけで大人を糾弾する物語。60年代後半の実話に基づいた話である。
そしてこのストーリーの根底にあったのが、まさに「DON'T TRUST OVER THIRTY」の精神だった。今回、注意して観てみたが、この言葉がそのまま出てきたシーンはなかったものの。
さらに、書き加えておく。
ユーミンが書いて、1975年にバンバンがヒットさせた「『いちご白書』をもう一度」は、言うまでもないが、この作品にインスパイアされて作られた曲である。
『いちご白書』のストーリーを知っていると、これはただ懐かしさに浸っているのでなく、そこに痛みと、もしかしたら悔しさの感覚もある曲だな、と思った。時が経ち、時代も変わっているので、そこは伝わりにくくなっている気がする。
以上が今回、ゴイステの、銀杏の曲を聴きながら、ふと思ったことである。
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