詩:どっちつかずのコーヒー

シュンシュンと
ヤカンが有頂天になったなら
そのお湯で
コーヒーカップを温めよう
ドリッパーに粉を入れ
平らに均してお湯注ぐ
粉にお湯をふくませて
カルデラ成すまで待ちましょう
ゆっくりくるくるお湯注ぎ
泡の小山を築きましょう

十分コーヒー出来たなら
カップにそれを注ぎましょう

いただきます

一口すすって、
カップを置いて見る

白くストンとしたマグカップ
本来ならコーヒーの赤みがよく映えるそれは
今はカフェオレ並みの
たっぷりのミルクによって
ボンヤリとしたトーンで分断されている
味も
なんだかぼんやりだ

砂糖代りのチョコレートを噛み砕く
それをコーヒーで流し込むと
何となく笑いが込み上げてくる

中途半端
だな

今の自分は このコーヒーのようだ
ブラックの様な
率直さはなく
カフェラテの様に
手間をかけるでもなく
砂糖を入れる程
苦くもなく
インスタントにするには
いささか厄介

思考と一緒に
残り少ないコーヒーを
くるりと回す

吐き出しかけたため息を
最後のコーヒーで
押し返す

ごちそうさま

積み上がる中途半端を
少しでも減らすために
後片付けはきちんとしよう

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