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詩:夜だかの許(もと)へ

いつか星になりたいと願われたから
私は一握いちあくの灰になった君を瓶に詰め
朝一番のロケットで
大空へ飛び立った

夜明け前の濃密な大気は
憐れみを込めて私を送り出した
嘆きをとどろきに変えて
私は空を駆け上がる

空が 薄闇から青へ
青からまた闇へと変わる
エンジンの轟音とキシキシという機体の振動の中
私は君を握りしめる

夜だかは キシキシと鳴きながら どこまで飛んだのだろう
夜だかのいる カシオピアの隣りとは 何処だろう
今も燃えるという 夜だかの燐光は どれだろう
君も 近くになれると良いな

地球を振り切って
火星の重力が ロケットを引っ掛けるまで翔ぼう
そこならば
星になったと 胸を張って言えるだろう?

さよならを呟いて 君を納めた衛星をそらへ手放す
信号機を起動させたから
私が帰る頃には
君の小さな歌声が 地球に届くだろう

遠ざかっていく君の光に背を向けて
私は 地球に帰る
私は まだ 人だから
私は 星には なれないから

星には星の 人には人の 営みがある
君は 星として 歩み始めたのだから
私も 人として 歩み続けよう
いつか軌道が再び交わるその日まで

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