学習支援×就労支援
私は家庭教師と就労支援員を仕事としています。
家庭教師は主に中高生を、就労支援は20〜30代の若者を対象に支援をしています。
前者は不登校や病気などの何らかの困難や課題を抱えて、勉強が嫌になったり、思った通りに学べないご家庭の方を中心に、対面とオンラインを交えて、学びを提供しています。学校の日々の小テストや資格試験の対策、ときには読書感想文や自己推薦書作成など、できるだけその方の要望に合わせて、自らも都度学びながら、対等に、共に勉強し合う仲を目指しています。
後者は長期のひきこもりの方々や過去の嫌な経験が原因で、働くことに不安を持ち、なかなか就活に一歩を踏み出せない方に対して、協力企業のお力を借りて、実際の業務を体験するというプログラムを行っています。働くイメージを持ったり、仕事や他者からの評価を通して、自身の長所や特性を発見し、できるだけ働く不安を取り除き、意欲を高めることを目的にしています。
両方の仕事を約8年ほど行っていますが、最近、特に思うことがあります。
「自分で決めることができない方が多い。」
特に就職や働くことに困難をきたす方々には、特にその傾向が顕著に見られるように感じます。
もちろん、様々な困難な状況で生きてきた方々にはやむを得ないとは思います。自分自身も振り返れば学生時代や20代の頃はそうだったかもしれません。
しかし、我々支援に携わるものがそのような状況を助長はしていないかと思うこともあります。
「テストに出そうだから、今日はこの勉強をしよう。」とか、「これをやっておけば対策は大丈夫!」など自動的に効率が良い方法を支援者側が決めて、勝手に実行させていたのではないかとあるとき気づきました。いわゆる「レールの上に乗せる」ことで、支援者が自己満足をしていたのではないかと思います。
最近では「今日は何を勉強する?」から授業を始めることにしています。
最初は戸惑った生徒たちも、自らが考えないと授業が始まらないので、必死に考えて答えを出すようになりました。
しかし大事なのは「なぜそれを勉強する必要があると思ったの?」と更に問いかけることが必要ではないかと思います。
そのように問いかけると、
「テスト中に他の問題に比べてこの単元が苦手だと改めて実感したから。」
「課題内のこの問題が解けないことが悔しかったから。」
「明日の授業中、先生に質問されたら正解を答えたいから。」
「友達に教えてあげたいから。」
色々な答えが返ってくるようになりました。
そのような問答を繰り返していくうちに、自然と生徒側から「今日はこの勉強をしたいのでお願いします。」と事前に勉強したい内容の写真が送られてくることも珍しく無くなってきました。
彼らは常に問題意識を持って日々の勉強に取り組めるように変化したのでしょう。
もちろん、それに応えるためには支援者側にも充分な予習が必要です。毎回、授業時間の倍以上の準備時間が必要になることもしばしばです。こちらも完全ではないので‥。
幸い、この方法を実践するにつれ、各々の学習意欲が高まり、成績も徐々に上がってきました。それ以上に、支援者としては以前は受動的であった彼らが、能動的に学ぶ姿勢を獲得し、学習以外にも様々な成果を上げたことが非常に嬉しかったです。
もちろん、全ての成果が支援者によるものではないことは承知の上ですし、ご家族や学校の先生方など、彼らに良い影響を与えた人たちはたくさんいらっしゃいます。
ただ、そんな中で少しでも「自分で決めることができる」人づくりに携われて、本当に嬉しく、幸せを感じる毎日です。
将来、彼らが自分で考えた道を進み、自ら希望する仕事に就き、ワクワク楽しく過ごせるように、今から期待しています。
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