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「ファミコンバカ」と呼ばれた5歳児は今でもゲームをしている (11)
前回はこちら ⇒ https://note.com/you1293/n/nc08eb57105cc
まとめ ⇒ https://note.com/you1293/m/mf3a3e862c18b
多くの家がそうであったように、僕の家も「ゲームは1日1時間」だった。
某名人の言葉として有名だが、彼が言う前からそう決められていた家は多かったように思う。
8-1をなんとか越えられるようになっていた僕は、次なる難関、8-3で躓いていた。
8-2もにっくきジュゲムで始まり、いやらしいキラーの配置など、難易度は決して低くなかったが、8-2には何度でも取れる1UPキノコがあった。
こいつのおかげで、比較的何度もチャレンジすることができたし、道中には取るのは簡単ではなかったがパワーアップキノコもあった。
唯一苦労した思い出があるのは、土管の後のいやらしい配置の穴。
この穴がどうしても越えられず、試行錯誤の末、下の段ギリギリ左からBダッシュしてなんとか飛び越えた。
8-1のように時間に焦らされることもない8-2は、8-1で身についたテクニックのおかげもあり、それほど時間をかけずにクリアすることができた。
そして迎える8-3。ここを越えればいよいよ大魔王の待つ城。
道中に現れる城壁が、姫の囚われた城の大きさを物語っている。
Q. スーパーマリオブラザーズにおいて、最強の敵といえば?
この問いに対して一番多い答えは、おそらく大魔王クッパではない。
2-3までしか知らず、ワープゾーンを使ってここまで来た僕は、彼の姿を8-3で初めて見ることになる。
そう、亀のくせに二足歩行をし、軽快にジャンプしながら放物線状に鈍器を投げまくるあいつだ。
ヤツの名はハンマーブロス。
ブロスの名の通り、2体セットで現れ、凄まじい勢いで凶器を投げ散らかしてくる。
これまでの敵とは明らかに違う攻撃の激しさの前に、為すすべもなくやられていくマリオ。
ファイアさえあれば…
ワールド8-2にキノコが一つしかなく、またそのキノコすらも、大抵8-2の道中で失っている僕。
奴らの身長の半分しかない主人公は、降ってくるハンマーに容赦なく叩き潰されていった。
だめだ、勝てない・・・
弾幕のように飛んでくる鉄の塊は、いとも簡単に6歳の心をへし折った。
いつもは1時間めいっぱい練習していた僕は、その日初めて、20分ほど残して電源をオフにした。
無理だ。あんなのを越えていけるはずがない。
絶望に打ちひしがれている僕を見て、父がある提案をした。
「なんかな、すごい裏技があるらしいんやけど試してみるか?」
「裏技?ワープゾーンよりすごいのがあるん?」
そう言うと父は、ファミマガのあるページを僕に得意げに見せた。
父が持ってきたピーチ姫救出の最終兵器。
それは、世界でいちばん有名であろう、あのキング・オブ・裏技だった。
6歳児の挑戦は、まだ終わらない。
(つづきます)
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