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「ファミコンバカ」と呼ばれた5歳児は今でもゲームをしている (8)
前回はこちら ⇒ https://note.com/you1293/n/n3f873da9910c
まとめ ⇒ https://note.com/you1293/m/mf3a3e862c18b
父は熱しやすく冷めやすい性格だった。
そんな飽き性なところを、僕もしっかりと引き継いでいる。
元々は父が買ってきたファミコンだったが、初期のピンボール、マリオブラザーズ、エキサイトバイクなどを一通り遊び終えた父は、ファミコンに興味を示さなくなった。
僕もファミコンで遊ぶのは友達と、になっていたし、「ファミコン=親子の遊び」という図式はすでになくなっていた。
そんな状況の中、「スーパーマリオブラザーズ」を買ってもらう交渉はなかなか大変だった。
CMがテレビで流れるたびに、「お父さん、これほしい!」とせがみ、断られ続けたが、ある日酔っ払って上機嫌なときを見計らい、ついに購入の約束にこぎつけた。
父は厳しかったが、たとえ酔っ払って覚えていない約束であっても、ちゃんと守ってくれる人だった。
待ちに待ったクリスマス、長崎屋のおもちゃ売り場。
夢にまで見たスーパーマリオブラザーズが、僕のうちにやってきた。
昔のファミコンには、明確な「全面クリア」が存在するゲームは少なかった。あるとしても、数面を延々とループするものがほとんど。
しかし、スーパーマリオブラザーズには1ワールドに4ステージ、それが8ワールド、計32ステージも存在しており、それを全て越え、クッパを倒した先には最終目標であるピーチ姫が囚われている。
ハルオの家でプレイし、苦労して倒した最初の1-4のクッパの先にはピーチ姫はいなかった。男か女かもわからないキノコ人間が、英語で何かを訴えるだけ。
当時の僕の最高記録は、せいぜいワールド2-2の海を越えたあたりまで。2-3のプクプクの大群に襲われながらの橋渡りは、当時の僕たちにとってめちゃくちゃ高い壁だった。
元々自分がやりたくてファミコンを買った父だ。僕がハルオの家で受けた衝撃と同じ・・・かどうかはわからないが、「ちょっとやらせろ」と度々コントローラーを奪われ、いつしかふたりでワーワーいいながらプレイするようになっていった。
幼稚園児だった僕らにとって、ゲームの攻略情報は友達同士で交換するしかなく、どこからか仕入れてきた情報が全てだった。
そして、数あるスーパーマリオブラザーズの裏技の中で、一番最初に広まったのは、ワープゾーンでも、無限1UPでもなく、キンタマリオだったのを覚えている。
そんなくだらない情報で満足していた僕の前に、父がある雑誌を持ってきた。
その本が、ただただ走り回って冒険しているだけで楽しかった僕に、2-3を限界だと感じで止まっていた僕に、「ピーチ姫を助けたい」という目標を強く抱かせることになるのだった。
(つづきます)
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