「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」〜読書ノートことはじめ
娘と一緒に読書ノートをはじめたので、本を読んだら紙のノートにメモ書きをしつつ、noteにも残す、という一連を習慣化できたら、と思います。
目指せ100冊! 先に到達した方に何かご褒美があるはず?
第1冊
「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」
ほぼ日刊イトイ新聞著/2019年7月30日発売/株式会社ほぼ日
発売直後から、SNSで複数人が同時多発的に薦めていた「岩田さん」という本。こういう場合、タイトルだけではピンとこなくても、何かピピン(*)と来てポチってしまうことがよくあります。(*Pippin@:かつて大敗したゲーム機でしたね…)
後からこちらのサイトを見ると、ほぼ日の丁寧なコンテンツづくりから生まれた本ということがよく分かりました。
元任天堂社長、故・岩田聡(さとる)氏の言葉をまとめた本。というと少し硬いところを、ほぼ日らしいタイトル付けと、100%ORANGEさんの表紙イラストで単なる名言本ではないことを伝えてくれています。もちろん編集も含めて、ほぼ日マジックですね。
2015年7月11日に55歳という若さでこの世を去ってしまった岩田さん。なぜ、どうして…という感傷からではなく、淡々と岩田さんの紡いだ言葉を拾っていくものでした。ほぼお名前しか存じ上げなかった私が読んで、心に留めておきたいことを。
「ハッピー」についての話
いきなりですが、私が涙したのは第六章「岩田さんを語る。」の糸井重里さんパートでした。岩田さんが糸井さんに当時社長だったHAL研究所の顧問をお願いしに来たとき。おもに「ハッピー」についての話をしていったのだそう。
思えば岩田さんはずっとそう言い続けてるんだけど、みんながハッピーであることを実現したい人なんですよ。自分がハッピーであること、仲間がハッピーであること、お客さんがハッピーであること。「しあわせにする」とかじゃなくて、「ハッピー」ってカタカナなのがいいね、なんていうことをぼくも言ったかな。
なぜかじわりときました。凡人では到底成し遂げられない仕事をしてきてるのに、とても身近に感じるし、すべての仕事の、いや人生の目的が、なんてシンプルに言い尽くせるんだろう、って。
それ、真似していいですか?
問題解決の方法
第三章「岩田さんの個性。」より、才能とは、ご褒美を見つけられる能力だと言います。「この問題を解決したら、どんなご褒美が待っているのかな」と想像できるか。岩田さんの場合は、誰かを喜ばせることが自分へのご褒美なんですね。その視点を持つことで才能が磨けるというなら、ご褒美マインド持っていたいです。自分を喜ばせること、常に想像して才能を磨きましょう。
とはいえ問題解決にも優先順位があって、「一日の時間の使い方として、後悔しないで済むか?」 を基準に考えるといいます。これは自分にも真似できるかもしれないです。
問題解決の方法は、仮説と検証をとにかく繰り返すこと。トライ&エラーを無意識レベルで高速回転できるのがプログラマー思考の岩田さんなのですね。実行してみなくちゃ、エラー箇所もわからないのです。わりとすべてに通じそう……まずはエラーを恐れずトライから。
敬意と、信じることと
第二章「岩田さんのリーダーシップ。」より
岩田さんの掲げるミッションは、いい意味で人を驚かすこと。自分の得意とする分野で。でも一人ではできないから、「こうなりたい」イメージをチーム全員が共有することを大切にします。そして、自分以外の人に敬意を持てるかどうか、特に自分のできないことをできる人への敬意を忘れてはならないことを、自らの経験をもって教えてくれます。
第四章「岩田さんの信じる人。」より
「アイデアとは複数の問題を一気に解決するもの」とは、で宮本茂さんの言葉として語られていますが、その考えを経営に役立てられていたのだと分かります。視点を自在に操ることのできる宮本さんへの尊敬の念を抱き、自らも相当実践されていたのだろうと思うのです。
信じる人がいるって、本当に羨ましいな、と思います。岩井さんにとっての、宮本茂さん、糸井重里さん。どんなに豊かな関係性なのだろうな、と妄想します。
誰かの信念に全面的に共感すること、尊敬すること、取り入れること、自分にとってはなんだか難しいことなのです、駄目なところ。でも、自分ができないことをできる人を部分で尊敬するところから、信じることも始まるのかな、と思えば身近な誰もが対象です。信じてしまえば、自分の血肉となっていくのかもしれません。
天才とは
第四章「岩田さんの信じる人。」より
岩田さんの見つけた「天才の定義」が語られていました。
「人が嫌がるかもしれないことや、人が疲れて続けられないようなことを、延々とをやり続けられる人」
「自分が苦労だと思わずに続けられることで、価値があることを見つけることができた人は、それだけでとても幸せだと思います。」
経営者としての苦難は「制約はクリエイティブの母」という言葉に変えることで、やり続けた人なのだな、と。そして有能なプログラマとしてコンピューターにできることを知り尽くしているからこそ、人間にしかできないことを、徹底して考えて抜いていた人なんだというのも腑に落ちるのです。
個人的に「天才とは」といえば、中村一義『金字塔』より。妙にハマるので本書のBGMに選定させていただきました。
“天才”は、今、みんなが知ってる“天才”であり、いい奴なんで、
今、昔が溢れたって、いいって。だって、本物はある。
天才”は、今、みんなが知っても“天才”であり、変わらないんで、
今、昔が溢れたって、いいって。だってさ、天才は残る。
(詞:中村一義)
どの世代にも身近なこと
私はゲーム黎明期からともに成長してきた世代の、ライトユーザーです。わが家に初代ファミリーコンピューターが来た当時のインパクトを覚えています。それまでも単体のテレビゲーム(ブロック崩し)をやってたけれど、やはりソフト(カセット)を入れ替えられるのは、画期的でしたよね。初代四角ボタンだったので多分9歳、今の娘と同じ歳だったとは、ドンピシャでしたね、かなり遊んでいた方だと思われます。
兄弟でそれぞれソフトを持てたのだけど、私の担当は「ポパイ」。姉の「ドンキーコング」を羨んだ記憶が。いや、ポパイもかなり面白かったんだけども。その他、初期にハマってた「F1レース」や「ゴルフ」に岩田さんも関わっていたと知り、本当に楽しませてくれてありがとう、と。当時は考えも及ばなかったけれど、開発者には尊敬の念しかありません。
娘は「星のカービィ」が大好きです。Switchの「スマブラ」をプレイしてからのユーザーなので、過去のゲームは知らなくてもキャラクターとして確立しているカービィの大ファン。
本の中に、ゲームボーイ版「星のカービィ」が当初「ティンクルポポ」というタイトルで受注まで取ったものの発売中止にしたこと、開発に手を加え名前を変えて出し直したら、結果大ヒットシリーズになったというエピソードがありました。娘にトリビアとして披露したら、「えぇ!」とナイスリアクション。遊ぶ側として、ゲームを作る人たちに思いを馳せることもできたら、色々なお仕事を知り、考えることにも繋がりますね。
任天堂が身近にあったり、成長しても思い出にある限り、岩田さんのお仕事も引き継がれていき、世代を超えた誰もに「岩田さんのことばのかけら」が沁みるのだろうな、と思うのです。彼ののこした仕事が、言葉が、そのままのこされた者への道標となる、そんな本でした。
まだ読み足りない
編集者・永田さんの「岩田さんの本をつくる。」も、本をつくることへの誠実さが伝わるものでしたし、何よりほぼ日にはオリジナルのコンテンツがまだまだあるのです。ゆっくり読むのが楽しみです。
サイトでは写真もあるので、より岩田さんの人となりが見えてきます。リアルタイムで飛ばしてしまっていたことも後悔。ほぼ日の膨大なコンテンツに埋もれてしまうのはあまりにももったいないから、こういう形でアラートしていただく「ほぼ日ブックス」さんにも注目、応援、発掘せねばです。
#読書note_2019 vol.1
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