見出し画像

尊厳死とは〜リビング・ウイルを分かち合う地域サロン

「リビング・ウイル」について皆さんで分かち合いませんか?

近くの図書館で手にしたチラシです。先月末に「死のワークショップ」に参加したこともあり、アンテナが反応しました。よく読んでみると、日本尊厳死協会・関東甲信越支部による地域サロンが開催されるとのこと。

「リビング・ウイル」とは「尊厳死」を選ぶ生前の意思表示のこと……となんとなくは分かりましたが、詳しいことは知りませんでした。

「尊厳死」とはなんなのか、どのような制度なのか、それは人と分かち合うものなのか…… そんなゼロに等しい状態で、昨日、参加してきました。

「リビング・ウイル」ってなんだ?

最後まで自分らしく尊厳を保って生きるということ!

リビング・ウイル(Living Will)とは、「人生の最終段階における事前の意思表明書」で、「いのちの遺言書」「生前遺言書」とも言われるそうです。

その大前提は「自分の病気が治る見込みがなく、死期が迫っている」こと。
そのときに、「延命治療を施さないで欲しい」と事前に宣言しておくことで、その個人の意思・権利が尊重されるよう活動しているのが、日本尊厳死協会です。

下記サイトにて、詳しく知ることができます。

「尊厳死」と「安楽死」の違い

わたしも意外とぼんやりしていたので、この二つの死の違いから。

「尊厳死」は、不治で末期の状態での延命措置をしないことで、自然の経過のまま受け入れる死のことなので、自然死や平穏死と言われることもあるそうです。

「安楽死」は、助かる見込みのない病人を、本人の希望に従って苦痛の少ない方法で人為的に死なせる死のことで、日本では違法行為。加担したら罰せられます。

日本の医療は、延命をモットーとするため、自然のままの死がなかなか起きづらい状況があるというのです。意識がなかったり、意思表示ができない状態になったもしものとき、本人が望む形の死を実現できないことが、あり得るのです。
命の危険が迫った状態になると、約4分の3の人が、自分で決めたり、人に伝えたりできなくなるそうです。

そのため、日本尊厳死協会では、宣言書(リビング・ウイル)を自ら書いて、身近な人や医師と共有しておくことを推奨しているのです。

ちょうど昨年の11月に、協会のリビング・ウイルが、時代に即して新しくなったそうです。こちらからその趣旨や詳しい内容を見ることができます。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)のすすめ

では、協会に入ってリビング・ウイルの宣言書を書けばよいのかというと、それだけではありません。

「リビングウイルノート」などをつかって、自分の意思や価値観を記しておくこと、それを大切な人と分かち合うことをすすめています。

迷ってもいい!
決められないことがあってもいい!
後で変わってもいい!

生きていくことは「選択」の連続だから、生きていく中で変化するのは当たり前、と思って、繰り返し考えて、共有していきましょう、と。

このような考え方を、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)といって、厚労省は「人生会議」の愛称で、すすめているそうです。

「人生会議」してみませんか|厚生労働省

「終活」や「人生会議」、リビング・ウイルとともに、共通項があるならば、それは一人でするだけではなく誰かに話す、共有することの大切さがあるように思います。

尊厳死協会のかかげる「だれもが最後まで自分らしく生き、安心して豊かに過ごせる社会の実現」という目的も、形を変えてアプローチの違いはあれど共通ですよね。
多死社会日本の今後に、ますます大切なことです。

地域サロンの濃密さ

講師の方のお話を伺い、そこに集まった方々と話すことで、なぜこの制度や仕組み、活動が必要なのかが、よーく理解できました。

「みなさんがサロンで話された内容はサロンの中だけに留める」というルールがあったので詳しくは書けないのですが……
要するに、個別具体的な事例をもって、なるほどそんなことがあるのか! とか、そういう心配があり得るから事前の打ち手が必要なんだ〜、とかなりイメージができました。

なかでも良かったのは、まさにご近所の地域サロンだったこと。
参加者の中ではわたしでも若手だったので、人生の先輩方が地域で実際にあった出来事を話してくださったり、おひとりさまになられている女性がどのように考え、行動しているかを具体的に教えていただけたり。自治体施設の活用や実際の働きなど、安心できる情報もいただきました。

女性も男性も素敵なアクティブシニアで、同じ地域コミュニティの住人同士のあたたかさもあり、なんとも前向きで濃密な会で、充実した学びの時間となりました。

わたしはどうしたい?

個人的には、延命治療を受けるか受けないかなんて、まだ先のことで、自分ごとではないと思っていました。

でも、人生の選択は自分で決めたいという意思に関しては、強く揺るがないものがあります。それが、リビング・ウイルにもつながるものだと気づかされました。

超高齢化社会をまえに「終活」やエンディングノートが広く知られるようになっているし、「終活」の話題はそれこそ身近にあります。

その「終活」が幅広くなっていることもあって、身辺整理や葬儀やお墓、お金のことはやるけど、いちばん大切な「どのように人生を終えるか」が忘れられがち、と講師の方が指摘されていました。
たしかに。それを決める権利を行使できなかったら残念すぎる……。

そんな後悔を生まないように、自分がどうありたいか、どんな選択をしていきたいのか、日々その精度を上げていきたいな、と思いました。
先輩たちの迷いのなさといったら、さすがだったので。

今回たまたま出会った地域サロン、超濃密なこうした会は、リビング・ウイルの普及活動のために、不定期で各地で開催されているそうです。

コロナ禍で中断していたイベントや講演会が、できるようになってきましたね。告知はHPをぜひチェックしてみてください。

最後に、今回の地域サロンを企画・運営いただき、ありがとうございました。無料だなんて、いいんですか。


いいなと思ったら応援しよう!

長谷部 美子|行政書士オフィス ハナウタ
最期まで読んでいただけただけでも嬉しいです。スキをいただいたり、サポートいただけたら、すこしでもお役に立てたり、いいこと書けたんだな、と思って、もっと書くモチベーションにつながります。 いつかお仕事であなた様や社会にご恩返しできるように、日々精進いたします。