【book】推し、燃ゆ 宇佐見りん
先日芥川賞を受賞した宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』、読みました。前作の『かか』を読んだときに、これは絶対芥川賞をとるよ、と友人に話していたので、本当にとったので、自分の”推し”が賞をとった感覚です。
タイトルや表紙の絵からすると、推しにハマった子の、淡い青春物語的な印象をうける人もいるかもしれませんが、全く違います。
近年読んだ本で、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』にも衝撃を受けましたが、それ以上に、深く深く、心をひっかくような感覚になります。
生きづらい女の子が、推しを推すことで、いびつではあるのだけれども、生きることができる。本当にそれでよいと思う。自分の大切な誰かが、生きるのが苦しくてどうしようもないときに、推しを推すことで前を向けるのならばそれでいいと思う。そういう気持ちになります。
生きづらさは、多かれ少なかれ誰でも持っている感覚なんでは、と思います。その感覚が、この物語に呼応して響く。
最後の数ページは、Hopelessなんだが、女の子の感じる怒りが、這いつくばってでも生きる気力になっている。理不尽な現実に抗う、生への渇望を感じます。
今後もフォローしたいと思える作家に久しぶりに出会うことができました。
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