空想レシピを現実に変える
私は常々、食べ物について考えている。趣味は食道楽と言っても過言ではないほどで、Twitterのおすすめ欄は食品とカピバラで埋まっているほどだ。カピバラは可愛いのでおすすめ。
様々な有名店の料理に興味があるものの、なにぶん田舎育ち田舎暮らしなもので近くに店が無かった。それで私は空想レシピを考えるようになったのである。
私は一次創作をするのもあって、キャラクターに合わせた料理を考えることがしばしばある。よくある「一次創作コラボカフェ」というやつだ。
大体の人はその世界にある素敵な空想素材でレシピを考えるものだが、私の創作は現実の隣にあるものとしているので空想には少し浪漫が足りない。しかし、それは同時に現実で再現可能ということだ。
よくある「ファンタジー創作世界にカレーはあるのか?」などの心配がいらない。謎の果実の味を説明する必要もない。
しかし、ある程度料理の腕が無いとダークマター料理になってしまう。私は紫じゃがいもでポテトサラダを作り、一緒に入れたゆで卵を緑色に染めたことがある。どうしてそうなったかは検索してほしい。
空想レシピを現実に持ってくるにはどうするか。まず見た目を決めることが大事だ。見た目から材料を考えるためである。イラストが用意出来ない場合は文章で色や香り、食感を表現してみてほしい。
例えば銀河の雫というレシピがあるとしよう。深い青……というよりも、暗さがある青に銀の星々が輝くほんのり酸味がアクセントな、透き通った清涼感ある菓子だとする。
どう考えてもゼリーである。もしくはキャンディだが、雫となればみずみずしさを感じるだろう。銀河の結晶なら琥珀糖かキャンディにしていたところだ。
このように、空想だとしても現実の何に近いかを考えれば案外簡単なものである。
では実際に何が必要か考えてみよう。
透き通っているなら、透明感が高い凝固剤が必要だ。手に入りやすいのはゼラチンだが、こいつは扱いを間違えると獣のような臭いがするので実はおすすめできない。しかも沸騰させると固まりにくくなるので、案外初心者向けではないのだ。
というわけで今回はアガーを使用する。カルディなんかでパールアガーと書かれているものが売っているはずだ。
次に、バタフライピーか青色りんごコンセントレイトを用意する。入手難度は確実にバタフライピーの方が容易に手に入るが、ハーブティー類が苦手な方はヴィレッジヴァンガードオンラインショップなどで青色りんごコンセントレイトと検索してネット注文してほしい。
なお着色料粉末を買うくらいならかき氷シロップで代用してほしい。あれは使い道がない。その場合はいちごとブルーハワイの2種類が必要になるが……。
銀の星々。これはアラザンである。実はアラザンは湯をかけてかき回すと溶けて銀のかけらになるのだ。銀粉を買うより安上がりである。
そしてレモン汁。ちょっとでいいのでポッカレモンで十分だろう。
なお、砂糖は必ずグラニュー糖にしてほしい。三温糖は色が付き、上白糖はゼリーから水が出てしまう。転化糖であるグラニュー糖は保水力が優れているのだ。
アガーとグラニュー糖を混ぜて水に溶かして、バタフライピーのティーバッグを入れてから火にかけて沸騰させて数分、3つの容器に分けて一つにはアラザン、一つは何もなし、もう一つは80度以下に下がってからレモン汁を入れる。これでキラキラ、青、紫のゼリー液が完成した。
そしてゼリー型に流し込むわけだが、ゼリー型から取り出して食べるならキラキラから、ゼリー型に入ったまま食べるなら紫から順に青を真ん中にする形で層になるように重ねていく。ミルフィーユのように。アガーは常温でも固まるが、冷蔵庫に入れることでより早く固まるので、注ぐ度に冷蔵庫に5分くらいぶち込もう。
型いっぱいになったら2時間ほど冷蔵庫で固めて完成だ。上にホイップをちょこんと絞ってミントを飾るといい感じになる。
これで暗い青に銀の星々が輝く甘酸っぱい菓子が出来上がった。空想を現実に持ってきたのだ。
コラボメニューは想像力と分析力、料理知識が必要になるが、例えばこのレシピのように「青いゼリーかな?」と思ったら「ゼリー 作り方」と検索すればいい時代になった。
実際に作ってみなくても、現実で再現可能だと思えばワクワクするものだ。いつか作ってみよう、で構わないものだから。
とりあえず私はこれを書いて「悪くないな?」と思ったので、いつか実際に作って記事にするかもしれない。しないかもしれないが。