②待ってもいいが待たせはしない
高校1年生なんて右も左もわからぬ小学10年生である。
高1の担任は怒るとめちゃくちゃ怖かった。
世界の全ての悪役がエンジェルに見えるほど担任は怖かった。
怒られている間は永遠の宇宙を体験できた。
怖すぎて全身の筋肉が硬直し担任を見ながらチューリップのことを考えていないと自我が保てないほどの時もあった。
(悪いのは担任ではなく1を聞いたら7000を想像し勝手に責任を負う僕かもしれない)
慣れればめちゃくちゃ優しくて授業が面白い素晴らしい先生だったのだが、キレた瞬間に悪の権化になる。
この世の全ての恐怖をかき集めた悪よりも絶対的な怖さを持つティーチャーだった。
デビルマン。(何かの手違いでこのブログを読んでいないことを祈る。まだ死にたくない)
「遅刻したら命は、、、、、ない!!」
大げさである。というかそんな高校存在しない。
しかし当時の私にはそのくらいに思えた。
隣の席の子については、単純にその子のことが好きだった。べらぼうに可愛かった。
遅刻して怒られたら
「オメーのせいで担任が悪魔になったんだぞ。どうしてくれるんだ。この悪魔口寄せ遅刻デブめ」と言われてしまう(なかなかお茶目な口調の子だった)。
自転車のギア2200円を惜しんだせいでこの世に悪魔を呼び出し好きな子にデブ呼ばわりされたら広辞苑の “生き地獄” の説明に僕の名前が乗ってしまう。
不名誉にもほどがある。
結果的に、残り1分のところで教室に滑り込んだ。
後半は急ぎすぎて今では記憶も曖昧だ。
結局遅刻はしなかったもののクラス全体のテストの成績が悪かったために先生は無事(?)悪魔と化し、汗だくの状態でシャツに小虫をつけながら好きな子の隣に座ることになった。
何もかもうまく行かない日である。
ついでに後日、僕は悪魔から0点をとり、その子には振られることになるのだがその話はまた別の機会に…。