爆音車に乗車した話
僕は耳が悪い。
左の低音がよく聞こえないらしい。
実生活では何ら問題はない。
起きるのが苦手なので耳元でアラームが爆音で2時間鳴り続けた結果、耳が “飛んで” しばらく何も聞こえなくなったこともある。
実は小学生の頃耳の手術をしているほどなのだ。
手術すべきなのは耳ではなく頭ではないかという意見は置いておいて、今日はアラーム以外で耳が 飛んだ” 話をしよう。
高校を卒業してすぐの春だった。
群馬県は超絶車社会デラックスなので、高校を卒業すると同時に免許を取る人が多い。
それにより、大学に入るまでの春休み期間ですでに車をゲットしている人もたくさんいる。
僕の友達、大将もその一人だった。
大将というあだ名を付けられたにも関わらず(?)彼はマジックの達人でクラスの人気者だった。
マジック大将である。
マラソン大会後に大将と食べたリンゴの味はいい思い出である。
大将は真っ赤なプリウスに乗っていた。
信じられない名車であるいくらしたんだ。
その頃僕は雨漏りのするベコベコのミラジーノに乗っていたのでとても比較にならなかった。
何が何だか全くさっぱり覚えていないが大将の車に乗って4人で遊びにいくことになった。
みんなの家まで大将が迎えにきてくれた。
僕の家が最後だったらしく、もう他の2人は車に乗っていた。
早速乗り込んで「よろしく〜」と言ったその時!!
♪ズウウウンズウウウンズウウンズンズン🎵
ありえないほどの大音量の音楽が流れた。
「うるせーーーーーーー!!!!!」
僕の声はエイトビートにかき消される。
車が動き出しても、音楽は止まらなかった。
♪ズウウウンズウウウンズウウンズンズン🎵
「たいしょーーーーー!!!!!音ーーーーーー!!!!!」
♪ズウウウンズウウウンズウウンズンズン🎵
「え!!!????何!!!???」
♪ズウウウンズウウウンズウウンズンズン🎵
「音下げてー!!!!!!!!!」
♪ズウウウンズウウウンズウウンズンズン🎵
「え!!!????何!!!???」
全く会話にならない。
ここはライブハウスなんてものじゃない。
これこそSEKAI No OWARIである。
誰が何を言っているのかわからないし、僕らはどこに連れて行かれるかも知らない。
ただただ超爆音がプリウスの中に響き渡り、人間4人が大声を上げていた。
高校を卒業し、みんな頭のネジがなくなってしまっていたのかもしれない。
僕は今でもうるさい音楽が漏れる車を見かけると思い出す。
ああ、あの時確かに “飛んだ” な、と。
またこのメンバーで僕の車でドライブした際、山道で大事故に遭うのだが、それはまた別のお話。