③待ってもいいが待たせはしない

ちょっと遅刻のエピソードを差し込もうとしたら2編と1000字余りも使ってしまった。
驚くかもしれないが前述したエピソードは本題ではないのだ。


脱線というかトチ狂った車掌の行き先変更暴走特急である。みなさん振り落とされてはいないだろうか。
大阪行きの新幹線に乗ったら20時間止まらずに走り続け「到着しました。ここはパプアニューギニアのジャングルです。」と言われるようなものだ。
三億円事件につぐ大事件である。
ラジオパーソナリティーだったら確実に降板である。



遅刻を過剰に嫌う人は結構いるだろう。
アメリカのドラマみたく、遅刻時に「ちょっとワイフと月まで旅行にね」なんてジョークも言えない。
「全力土下座、はじまるよ☆」である。


人生もまだ長いし、土下座写真と弁明を合わせた絵はがきを作るとか、おでこ用のパットを作るとかしたいと思う。





逆に待つのはいいのだ。
いくらでも待ってやる。2日でも3日でも遅刻してこい。
私は忠犬ハチ公だ。伸びたヒゲが地面に着くまで待っても「大丈夫今来たとこ」と言ってやろう。


これは吹奏楽部時代の鍛錬のおかげである。(悪魔口寄せ遅刻デブは中学時代吹奏楽部だった。高校は違う)
合奏というみんなが音楽室に集まり一斉にする練習と、パート練という別々の部屋に分かれてエアコンのない部屋で暑さ寒さに耐え忍ぶという2種類の練習がある。
事件は合奏練習の時に起こる。

僕はチューバという自分の体より大きい楽器を吹いていた。
チューバは楽譜が簡単というか、単純なとこが多いので合奏の時に特別注意されることは少ない。
(僕がうまかった説も否定できない。そう思ってもらってもやぶさかではない)


よって他の楽器が怒られている間ずっと暇なのだ。


すんごい暇だ。合奏練習が長引くとだんだん泥沼化してくる。

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ひどい時なんかは、ホルンとフルートは泣き、トロンボーンは絶望し音程と右手が下がり、バスクラは暇すぎて眠り、ユーフォは「そこ自分も吹いてます」が言い出せずにもじもじし、トランペットは意識が別の宇宙に行き、クラリネットはフスー!カタカタ!フスー!カタカタ!と降霊術を始め、サックスはずっとギュイ⤴︎ギュイ⤴︎という鳥の鳴き声みたいな音を鳴らし、パーカッションはティンパニーの陰に座り込み、先生は取り憑かれたように「あと一回!」を繰り返している。

先生は多分タイムリープしている。

音楽室の端に座るチューバの僕はその光景を一望している。
全員違う部活のようにも見える。実写版ゲルニカだ。

(突然先生が「はいじゃあ全員で」と言うともれなく全員が焦る。天然気質のトランペットが宇宙旅行から帰ってこなかったりもする。)

つまり合奏練習は吹いている時間より待っている時間の方が長い。
この頃から貴重な時間を費やし、部活として待つ練習をしていたのなんて僕くらいだ。

そんなことしてるから本番で音外すのだ。


鍛錬の末、超時間前集合野郎が爆誕した。
集合時間の2時間前に着くなんて日常茶飯事である。
(2時間なんてラジオ1本分だ)

集合時間に遅れるのは絶対に嫌なのに待つのは平気である。何時間でも待てる。

今思いを寄せている子に至っては1目惚れてから1年待っている。
「待たせてごめん」と言われたら「大丈夫、今惚れたとこ」と言ってやろう。

その時のために、ビンタに耐えうる頰パットを作っておかないとな。


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極悪
どうも。 サッと読んでクスッと笑えるようなブログを目指して書いています。