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阿部謹也『自分の中に歴史をよむ』

『ハーメルンの笛吹き男』で有名な阿部謹也の本。一般向けに書かれたエッセイ風のもので、どう読んだら良いのか当初は戸惑いました。

内容としては、歴史を考える際に現代を前提としたり、終着点としての現代に至る過程として歴史を見るのではなく、その時点時点で存在していた世界や時間のあり方(宇宙)をリスペクトせよ、というものです。

この本は1988年に初版が出ており、もし阿部謹也の言葉に従うのであればこの本が書かれた時代を考慮して理解すべきでしょう。80年代、90年代に影響力を持った、ポストモダニズムによる歴史へのアプローチの影響下にこの本や「ハーメルンの笛吹き男」もあります。

ただ、2021年の現在、少なくとも社会的な面で当時のモダンを支えていた要素はかなりの部分で崩れており、モダンの前提を疑えという阿部謹也の言葉がかえって自明なものとして聞こえたのも事実です。

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