はじめてレッズをみた日
1993年Jリーグ開幕。
子どもの頃から憧れていたサッカーの街浦和にもクラブが誕生し心が躍った。
浦和レッドダイヤモンズは前年のナビスコカップで攻撃的なサッカーを展開、年末の天皇杯でもベスト4に進出して期待が高まった。
しかしいざリーグ戦が始まるとレッズは勝てなくなってしまった。毎日仕事漬けだった20代の自分はスタジアムに行けず、新聞やテレビのニュースで結果を知るたびため息をついた。
1stステージは3勝15敗で最下位。
2ndステージでも苦戦が続き、ドーハの悲劇を経て初年度のJリーグも終わりが近づいていた。
12月8日ヴェルディが勝てばステージ優勝となる国立でのレッズとの試合。当時の会社の先輩がチケットを2枚譲ってくれた。
水曜の夜仕事を終わらせ、千駄ヶ谷駅で待ち合わせた妻と国立競技場のゲートをくぐり超満員のスタンドにつく。冬のピッチを照らすカクテル光線が眩かった。
それがメインだったかバックだったか、試合内容もほとんど忘れてしまったが、カズのハットトリックもありレッズは0-4で敗れ、ヴェルディの優勝が決まった。
途中から雨が降り出してとても寒かったこと、サッカーに全く興味がない妻が「サッカーって雨でも中止にならないんだね」って呟いたこと、次々とゴールを決められてもレッズのサポーターがずっと声を枯らし応援していた光景。そんな記憶だけが30年経った今も脳裏にある。
5年後日本代表がW杯に初出場した年に生まれた息子は25歳になり、レッズの試合を見に全国のスタジアムを駆け回っている。
日本にプロリーグが出来て30年嬉しいことも悲しいこともたくさんあったけれど、三菱ダイヤモンドサッカーが海外サッカーに触れる唯一の機会だった世代には、永い夢を見ているような幸せな日々である。
これからもスタジアムが、初めて訪れた人もずっと通い続けているサポーターも平等に楽しめる場所であってほしいと思う。