建築しか見ない旅 シカゴ編2
新婚旅行最終地、シカゴの2日目。
シカゴは2泊3日だったので、これが最終日だ。くそ、まったく日数が足りないでやんす。
今回の旅行は新婚旅行休暇として、お盆や正月、GWとは別で、会社から5日間の有給をもらい、7泊9日でパンパンで旅程を組んでいる。サラリーマンとしては業務に大きく支障を来たさない形での最大級の贅沢であることは分かっているが、、、ちょっと短いね。
学生の時もっと行っとけばよかったというくそベタなセリフではあるが、2週間や3週間いければもっともっとゆっくりたくさん建築を見られるのに。。しかし、学生は金がないんだけどね。
というわけで、イリノイ工科大学のミースvsレムの戦いを後にして、再びちょっと郊外へ向かう。
Oak park駅。いわゆるココはフランク・ロイド・ライトの街。
建築家として独立をした1893年から1910年までの間で200件以上の設計を行っている化け物。いわゆるプレーリーハウス時代。
26歳から43歳の17年間で200件か。。。。そんだけやれればそりゃ上手になるわけだよなぁ。。やっぱ数こなさないとだよね。だれか仕事くれ。
この時代を経てロビー邸という傑作が生まれる。
この街での一番の獲物はユニティテンプル。
正直かなり興奮したのでそこそこ長くなります。注意。
1908年竣工で、ライトのキャリアで初めての公共建築で、またライト初めての鉄筋コンクリート造の建築らしい。
ユニティテンプルはOak park駅から徒歩8分程度。
佇まいはその他のライト建築とは少し異なるように思える。
外装はコンクリートに左官で均していて、ロビー邸や帝国ホテル等のレンガの外装とは姿が違う。
開口部分の柱の最小限の装飾にとどめられている。
ライトの他の仕事で見受けられる華やかさとはうって変わり、あら、お金なかったかな、と少し感じられる。
けどそれは見窄らしいという事でなく、過剰さが省けた、という風に感じられる。街に溶け込んでいるたたずまいが素敵。
コイツァいいぞと中にはいる。
エントランス。
プランを見ると、大きく二つのヴォリュームを渡り廊下が繋いでいるという構成で、左側がテンプル、右側はサロンと書かれている。
この渡り廊下のプランはライトが日本に視察に来たときに日光東照宮から参照してるのでは、という説があるらしいが本人は鬼の否定をしているらしい。
またテンプルっていうのはいわゆるキリストの教会とは違うらしい。そのため十字架はなく、神のみを礼拝する神殿、という位置づけのよう。
アプローチは、いわゆるキリスト教会とは大きく異なっており、祭壇に向かって正面に入って行くのでは無く、半層上げられた側席の下側から、雪見障子のように視線を制限しながら、最後ののメイン空間へ繋げている。
これはバツグンにいい断面だな…
側廊を抜けてメインの空間へ上がる。
イイ。イイイイィ!!!!
決して大きい空間ではないけれど、ダイナミックだ。
大聖堂でなく、生活に根付いた拠り所。人肌優しい。
ライトとか不倫大魔神だから人の心読めないのかと偏見たっぷりだったけど、何これ、すごく優しいじゃないの。
決して大きくないけどダイナミックで広がりを感じる。何だろうかと思うけど、一重に光と影の使い方かな。
先程通ってきた半地下の側廊。その半層によって暗い部分が生まれていて、側席のキャンチ感がある。
インテリアにもライトお得意のフィニッシュ煉瓦は使われておらず、RCにモルタルの質感が統一されている。
ちょっとしたクリーム色と軽いグリーンの色分けがされている。栄華な帝国ホテル等の様相とは大きく違うけれど、その色分けだけで、お金がなくても全然この人デザイン出来ちゃうんだな。
というか、僕はこっちのが好きだぜ?
全体はモルタルの中で、廻縁だったり巾木だったり、時には何でも無いもの(装飾かな)が壁、柱、天井を駆け巡って行く。そのウォールナットの木は家具へ照明へ展開されて行く。
このエッジングと言うのか分からないけど、ライト様専売特許のウォルナットの装飾ラインがやはりデザインを引き立ててる。コイツがやっぱ肝だな。
壁面のプロポーションを自在にコントロールしてる。ウォルナットのラインの強弱(巾)、字となる色が塗られた面と、図となるモルタル色の面。
しかしコレをやる勇気たるや。マジで素人の僕がやろうとしたら大事故になる気がしてならない。
だけどこの操作によって、壁も柱も天井も連続して見えてくる。ライトの思いのまま。
見れば見るほどかっこいいな…
あとは、解体された立方体が包含されてるように感じる。
四隅の正方形の柱はプランで見るとめちゃ太何だけど、空間で見ると柱と感じさせない。
ミースが柱と床だけの空間として限界まで要素を取り除いた人だとすれば、
ライトは柱、梁、壁を、それをそうだと感じさせないように溶いた人なのではないかと感じさせる。
デザインによってそれが成し得るんだゾォと伝えてくれてるような。
照明も完全にデザインしきってる。
トップライトの構成。
彫りの深いグリッドの梁の下端と上端に面があり、そのさらに上にガラス屋根があるよう。トップライト方向に向かって3枚のレイヤーがあるためにすごく奥行きを感じさせる。
質感も障子の様に見えて、奥の感じさせ方も日本民家に似るものがある。
スケッチ、スケッチ…
うーん、満足☆
シカゴ ピザをキメ込む。
うめぇよ。
そしてこの後は再び市街地に戻る。
モンスター系が一つ残ってる。
街の中心地にあるミレニアムパークの野外音楽劇場。
みてのとおり、フランク・O・ゲーリーが設計。
どしたのかな、この日は寝癖が酷いだけなのか?と勘違いするほどに信じ難い造形。
偶然、オーケストラがリハーサルをしていたので聞けた。
びっくりするほど飛びまくってるアーチパイプにはスピーカーがつけられてる。100%電気音響の劇場。
膜を貼るわけではないようだな、、
スピーカーや照明を吊るためのフレームだろう。
これだけ細くやれると本当に綺麗だな。多分50m近く飛んでると思うけど、本当壮観。
交点も綺麗。本当3Dモデルみたいに作られてるな。
この粗い網目にシカゴの超高層ビルがトリミングされるとモアレが起きる。グリッドに違うグリッドを仕掛ける都市装置のような。
ゲーリーおじさん、ゴイスー。
そしてミレニアムパークからとんでもないブリッジがまた超巨匠の建築に向けて掛かっている。
何やこれ!!飛びすぎ!!!
お相手はシカゴ 現代美術館。
レンゾ・ピアノ。
サラッとしてるように見えるけど、年々、建築を知るにつれて、キチガイじみたそのインテグレーションぶりにゲロ出そうになる。
こう…ゼネコン設計者としてはすごい好みだ。
またこういう丹精こもった綺麗な直線の建築の横にゲーリーがいるというこの対比も、前回のイリノイ工科大学のミースvsレムに似た何かを感じる。
本当に明るい美術館、展示室。
レンゾ・ピアノ編はどこかでがっつり別でやりたいな。。
そして最終日も終了。
この日はRadissonの下のレストランでロブスター丸々1匹食う。
エビとカニの間だねぇー!って102回くらい言う。つまりおいしい。
以上でシカゴ編2も終了。
長くなったがこれにて全て終了。
下記、新婚旅行にて見た建築リスト。
1.TWA ターミナル5
2.シーグラムビル
3.MOMA
4.レバーハウス
5.メトロポリタン美術館
6.グッゲンハイム美術館
7.クロイスター美術館
8.クライスラービル
9.エンパイアステートビル
10.ロックフェラーセンター
11.セントラルパーク
12.コロンビア大学教育センター
13.フォード財団ビル
14.国際連合ビル
15.ハイライン
16.ホイットニー美術館
17.チェルシーマーケット
18.IAC
19.グランドセントラル駅
25.グランゼロ駅 オキュラス
26.グランドゼロ
27. WTC1
28. WTC4
29.自由の女神像
30.ニューミュージアム
31.ストアフロントアートアンドアーキテクチャ
32.リンカーンセンター
33.デービッドゲッフェンホール
34.デービッドコークホール
35.ピータージェイシャープシアター
36.フィルムソサエティ
37.ジャズアットリンカーンセンター
38.ラディソンブル アクア
39.シカゴ建築財団
40.トランプタワー
41.マリーナシティ
42.IBMビル
43.アップルストアリバーフロント
44.ジョンハンコックセンター
45.レイクショアドライブアパートメント
46.イリノイ工科大学クラウンホール
47.マクコーマックトリビューンキャンパスセンター
48.ユニティテンプル
49.ライトスタジオアンドハウス
50.オヘア空港
見たねぇ。。
そして、
戦利品。
…買いすぎ。
いじょ!!次回はヨーロッパ編にて!!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?