東北一周自転車旅(4)福島県棚倉町〜いわき市
まずは旅行中の嬉しいご報告。昨日、note創作大賞2023のエッセイ部門の中間選考が発表され、ぼくの作品が2年連続で通過していた。
今年は応募総数33,981作品のうち、エッセイ部門で通ったのは43作品のみ。狭き門だからとても嬉しい。大賞を獲って書籍化を実現させるのが目標なので、来月の最終結果も楽しみに待ちたい。
▶︎今年の応募作品はこちらです。
また、この東北一周自転車旅のnoteが、note公式の「国内旅行 記事まとめ」に選出された。たくさんの方に読んでいただけたら嬉しい。
東北一周自転車旅
第4ステージ
福島県棚倉町〜福島県いわき市(57km)
昨夜はなんとか日記を書き切れたけど、深夜1時までかかってしまった。今朝は7時起きだったからちょっと寝不足。でも昨日の朝よりは疲労感が小さい。頭痛もしない。身体が少し慣れてきたのかもしれない。
リビングに行くと、もうお父さんが出勤する準備をしていた。ぼくにプリントアウトした地図を渡してくれて、いわきへ向かうルートで道を間違えないよう、いくつか間違いやすい分岐点に印をつけてくださった。ありがたい。このおかげで、ぼくは迷わずに行くことができた。
お父さんが家を出たあと、お母さんと雑談しながら朝食をいただき、支度をした。9時半に出発。おにぎりや補給の飲料まで渡してくださった。短い間でしたが、ハルカさんのご両親には本当にお世話になりました!
今日は峠を越える日だとわかっていたので少しドキドキした。今の体力的に、行けるかどうか。当初は、国道289号線でいわき市の勿来(なこそ)に出る予定でいた。しかし前夜、お父さんと話していて、考えが変わった。
「明日はどの道でいわきへ行くの?」
「国道289号線で行こうと思っています」
「えー!? 289で行くのー!?」
この驚き方で、相当な峠なのだなと察した。
「どの道も山でしょうけど、できるだけ登らずに済むルートはありませんか?」
「このルートの方がまだいいんじゃないかな」
と教えてくれたのが、今日走ったルートだ。まず、家の近くから118号線に乗り、浅川町を目指す。5kmほど走ったところで右折し、71号線、274号線、275号線を乗り継いで鮫川村を抜ける。この区間が今日いちばんの登り道になるが、お父さん曰く「車で5分くらい」とのこと。それで済むならありがたい。
実際、ギアをいちばん低くしてゆっくりと登る必要はあったが、今の自分にも耐えられる登りだった。出発から1時間半もかからずに、大変な区間を乗り越えた。そして古殿の道の駅で少し休憩。そこからは14号線でまっすぐ35kmほど行けばいわき市に着く。
ただし、23kmの間コンビニがない区間があったから、そこだけちょっと心配した。でもほとんど下り道で快調に進んだから良かった。道が新しく舗装されたばかりで、車通りも少なく、走りやすかった。
自転車を漕ぎながら、先日那須塩原で中田さんが言ってくれた言葉をふと思い出した。
「中村さんに支援したことで、これまでにない不思議な体験をさせてもらっています」
完成されたものではない、現在進行形で生まれている旅に対して支援したことで、一緒にワクワクしてくださっているのだそうだ。ぼくもまた、新しい旅をして、新しい文章を日々こうして生み出せていることを嬉しく思っている。他人からしたらただの遊びや旅行に見えるかもしれないけど、ぼくにとっては大切な創作活動だ。そのことに対して以前よりも自信を持てるようになった。
14時頃にいわき市内に入り、お腹が空いてきた。ちょうど道の途中に「日本三大まんじゅう」という大きな垂れ幕が見えて、虫が光に吸い寄せられるように、和菓子好きのぼくはふらふらとお店へ向かっていった。
どうやらこの柏屋の「薄皮饅頭」は、東京都の志ほせ饅頭」、岡山県の「大手まんぢゅう」と並び、「日本三大まんじゅう」と称されていて、温泉饅頭のルーツでもあるらしい。こしあんを1つ買って食べた。おいしい。ついでに、今朝いただいたおにぎりも2つとも食べた。
食べ終えて、さあ出発というところで、突然雨が降ってきた。もうラスト4kmだから、さっさとホテルに行ってしまえば良かったとも思うが、過ぎたことは仕方ない。割と強めの雨なので、しばらく雨宿りしていたが、全然止む気配がないので、もう諦めて濡れながら走った。ホテルに着く直前で土砂降りになり、随分びしょ濡れになってしまった。
今日の宿は、湯本駅近くの「スパホテル スミレ館」。いわきが温泉の街だとこれまで知らなかったのだけど、実際は東北屈指の温泉街だそうだ。土地勘がなかったから、最初はいわき駅近くのビジネスホテルに泊まればいいかなと思っていた。だけど、少し離れたこの湯本に温泉宿が密集していると知り、このエリアの安宿を探すことにした。このホテルは建物や設備こそやや古めだが、素泊まり4650円と安く、さらに大浴場は源泉掛け流しの温泉で申し分ない。
早速、洗濯機を回している間に温泉に入った。非常に気持ち良い。最高だ。このホテルは珍しく洗濯機が無料で、乾燥機が300円というシステムだった。宿のランドリーにも色々あるのだな。かつては部屋でウェアを手洗いして干していたけど、コインランドリーは実に便利だ。
いわき市には、ライターコンサルの生徒さんである奥村サヤさんが住んでいる。実はぼくがいわきに来たのも、コンサルを通じてサヤさんと知り合い、「いわきっておもしろそうな街だな」と思ったことがきっかけだった。東北にそんなにたくさんの知人がいるわけではないから、サヤさんに会えるのならいわきを通るルートで行きたいと最初から思っていた。だから那須塩原から郡山や福島市へとまっすぐ北上するのではなく、わざわざ峠を越えて海側までやってきたのだ。
そのサヤさんに湯本に泊まることを伝えると、「その近くにスナックみたいなコーヒー屋さんがあるのですが、おもしろいお店なので時間があれば行ってみてください」と連絡があったので、夕方その「kyoten」というお店に行ってみた。
オーナーの中村幸稚さんの本業がカメラマンで、よくサヤさんの取材時に撮影を担当されているそうだ。ぼくが訪ねると、幸稚さんもサヤさんから話を聞いていたようで、話が弾んだ。いわきのおすすめなども聞けて良かった。ここで飲んだ浅煎りのコーヒーが非常においしかった。
「どこの豆ですか?」
「これはbo-shi coffeeから取り寄せています」
いわき市植田町にあるお店で、調べてみたら実においしそうなコーヒー屋さんだった。また機会があったら行ってみたい。
夕食は、湯本駅近くの「海幸」で、「海幸刺身定食」2300円。ちょっと奮発したけど、お刺身のボリュームがすごくて、満足度の高い定食だった。タンパク質たっぷりで嬉しいメニュー。
▶︎ご支援者様用のフォームはこちらより
▶︎2023年 旅の予定&ご支援者様一覧(随時更新)
この記事が参加している募集
お読みいただきありがとうございます! 記事のシェアやサポートをしていただけたら嬉しいです! 執筆時のスタバ代に使わせていただきます。