マーケティング戦略構築手法:What
概要
ここでは、Whoで決めた資源投下先で「何を売るのか」を定めていく。
「何を」の部分を定め、その伝え方や届け方は「How」で整えていく。
ここでは下記の3つを整理していく。
・認知のされ方
・ブランドエクイティー/特徴ある価値
・ポジショニング/戦略キャンバス
認知のされ方
ビジネスを作る認知の本質は、消費者の頭の中にある「買っても良いと思っているいくつかのブランド群」の中に入っているかどうかである。
一般的な認知の指標としては2つある。
Aided Awareness(ブランド名で誘導されて計測された認知)
Unaided Awareness(ブランド名で誘導されないで計測された認知)
特にUnaided Awarenessは「カフェと言えば?」「本屋と言えば?」「食器と言えば?」など、ブランドを特定していない質問に対して、自社ブランドが想起されるかが重要となる。
例えば「カフェと言えば?」と聞かれれば、スタバ、タリーズ、ドトールなどがパッと思いつく人が多いだろう。
もしかしたら、ブルーボトルコーヒーを真っ先に思いつく人がいるかもしれない。
この時、カフェ事業のマーケティング戦略構築を行うと仮定した際「スタバ、タリーズ、ドトール、ブルーボトルコーヒー」に勝つには、これらより先に自分のカフェを想起してもらえるかがポイントとなる。
そのような想起に至るためには、後述するブランドエクイティーやポジショニングが必要となる。
ブランドエクイティー/特徴ある価値
ブランドエクイティーは消費者の頭の中にあるブランドに対する一定のイメージのこと。
ブランドエクイティーを築く一連の活動をブランディングという。
ブランドエクイティーを定めるには下記の質問に答えていく。
━ ブランドエクイティーを定める質問 ━
どのようなブランドイメージを伝えたいか?
そのエクイティーを所有しているのが誰なのか?
一方で、どんなイメージを持ってほしくないか?
消費者はどのようなブランドイメージがあるのか?
消費者にとって購買意思決定を左右する重要な判断軸は何なのか?
自社ブランドのエクイティーは何で、競合に対して強みと弱みはどのあたりにあるのか?
現状、他社と比較してどのような特徴が価値あるか?
自社の価値を何が下げているのか?
なぜ、顧客は自社の価値を下げている事象を選ぶのか?
どの顧客を対象とするか?
どのニーズを満たすのか?
相対価格をどのように設定すればいいか?
顧客はブランドに接触した時、各五感でどのように感じ、どのような気持ちになるのか?
顧客は自社ブランドを家族、友人、同僚、初見の人にどのように説明するのか?
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筆者の場合、上記の質問全てに答えた後、要約した一言にまとめる。
その後「反証」を使い、要約した一言を反証する。
これにより、特徴ある価値を明確化できる。
ポジショニング/戦略キャンバス
ポジショニングとは、消費者の頭の中にある競合との相対的な位置付けである。
縦軸と横軸で競合との線引きを行い、差別化を図る時に使えるフレームワークだが、2軸だけだと明確に線引きできないことが多い。
そのため、筆者は戦略キャンバスを「ブランドエクイティー/特徴ある価値」の質問事項を活用して整理している。
これにより、2軸のみのポジショニングよりも明確に差別化要素が見える。
━ 戦略キャンバス ━
価値となる複数の要素を横軸に並べ、各要素の高低を競合ごとに配置していくことで差別化ポイントを見抜くフレームワーク。
画像引用元:https://martechlab.gaprise.jp/archives/similarweb/post-12644/
戦略キャンバス活用方法の解説は画像引用元記事にて解説されている。
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戦略キャンバスを作る上でリスクとなるのが、横軸である要素の抜け漏れと、その捉え方だ。
例えば、要素を抜き出すブレスト会議を行った際、出席者によってバイアスがかかる。
また創業90年以上の会社を「古い」と捉えるか「渋い」「伝統」と捉えるかは人によって異なる。
故に、要素の抽出は参加者にバイアスのないブレスト会議、ネット調査、SNSによるエゴサなど、多角的に収集すべきと考える。
また「反証」で行う質問事項を元に、さらに多角的に見ることで本当の価値が何か見えてくると考えている。
まとめ
Whatでは、Whoで決めた資源投下先に「何を売るのか」を定めてきた。
一言で「この商品の価値はこれだ」と定め、チーム全体が共通認識として理解できていることが本稿のポイントである。
参考文献