#386 『めあて』で築く、主体的な学びへの道
「今日の授業、子どもたちの目が輝いていましたか?」
この質問に胸を張って「はい!」と答えられる日もあれば、正直「うーん...」と悩む日もあるでしょう。そんな私たち教師の強い味方となるのが、実は「めあて」なのです。
ある日の算数の授業。「今日は面積の求め方を学ぶよ」と淡々と始めるのではなく、「みんなで学校の花壇をデザインしよう!」という「めあて」から始めてみました。すると、普段は算数に興味を示さなかった児童までもが、目を輝かせて参加し始めたのです。
この小さな「めあて」の変更が、授業全体を一変させる力を持っています。では、この魔法のような「めあて」を、どのように効果的に活用できるのでしょうか?
まず、「めあて」と「ねらい」の違いを再確認しましょう。「ねらい」は私たち教師が設定する授業の目標です。一方、「めあて」は児童・生徒の視点から設定される目標です。この微妙な、しかし重要な違いが、授業の質を大きく左右します。
効果的な「めあて」は、児童・生徒の主体的な学びを促進します。自ら目標を設定することで、学習への意欲が高まり、自己調整学習の基礎が養われるのです。しかし、ここで注意が必要です。単に児童・生徒に「めあて」を考えさせるだけでは不十分です。私たちの「ねらい」と適切にすり合わせることが重要なのです。
では、具体的にどのように「めあて」を設定すればよいでしょうか。以下に、効果的な「めあて」設定のためのステップを提案します。
導入部分で児童・生徒の興味を引き出す発問や活動を行う
本時の学習内容に関連する既習事項を振り返らせる
児童・生徒に「今日は何を学びたいか」を考えさせる
出された意見を踏まえつつ、教師の「ねらい」と擦り合わせる
クラス全体で「めあて」を設定し、明確に提示する
このプロセスを通じて、児童・生徒は自分たちで「めあて」を設定したという当事者意識を持ちつつ、教師の意図する学習内容にも自然と取り組むことができるのです。
「めあて」の活用は授業の冒頭だけにとどまりません。授業の終わりに「今日の『めあて』は達成できたか」「次の授業では何を学びたいか」といった振り返りを行うことで、メタ認知能力の育成にもつながります。
さらに、長期的な視点で「めあて」を活用することも効果的です。単元の始まりに大きな「めあて」を設定し、それを小さな「めあて」に分解して日々の授業に落とし込んでいくことで、学習の連続性と目的意識を持たせることができます。
「めあて」の活用は、アクティブラーニングや探究学習といった現代的な教育アプローチとも親和性が高いです。児童・生徒が自ら課題を見つけ、解決していく過程で、「めあて」設定のスキルは大いに役立ちます。
最後に、「めあて」の活用は児童・生徒の学びを促進するだけでなく、私たち教師の授業改善にもつながります。児童・生徒が設定する「めあて」を注意深く観察することで、彼らの興味・関心や理解度を把握し、より効果的な指導法を模索するヒントが得られるのです。
ある教師は、「めあて」を活用し始めてから、授業の雰囲気が大きく変わったと言います。「子どもたちが自分で目標を立てることで、学ぶ意欲が高まったんです。そして、私自身も子どもたちの興味や関心に沿った授業づくりを心がけるようになりました」と、その変化を語ってくれました。
「めあて」の効果的な活用は、決して簡単ではありません。時には、児童・生徒の「めあて」と教師の「ねらい」の間でジレンマを感じることもあるでしょう。しかし、その努力は必ず児童・生徒の成長として実を結ぶはずです。
明日の授業で、あなたはどのように「めあて」を活用しますか?子どもたちの目が輝く授業は、私たち教師の「めあて」でもあるのですから。
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