【詩】 はるのいろ
身も心も
生まれ変わりたいと望む
若々しい
新しい気持ちとは かけ離れ
自然のやさしさだけを
ほしがっているようなひとでも
つかまえたくなる
柔らかな感触を伴う高揚
枯れることを知らずに咲いた
花の華やかさに
かなしみを感じてしまうのは
打ち明けられず
失うたびに 打ちのめされた
淡い恋との連想だろうか
短い生のうち
できることは限られている
ひしひしと
思い知らされるからだろうか
指先で触れてみる
うすももいろの散り花
靴先で踏んでみる
うすももいろの帰り道
はじまりの季節に
ふさわしい色として あてがう
まぼろしのような期待感と
どうしようもない儚さを置き土産に
春景が 去ってゆく
また会いましょう
さようなら
繰り返される惜別
No.90
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お読みいただきありがとうございました。なにか感じていただければ幸いです。