私が考える会社経営で大事なこと【前半】
気付けば1年ぶりの投稿になってしまった、、、
これからは自分のアウトプットの場としても、もう少し更新頑張ろう。笑
そんな、1年ぶりの投稿は【私が考える会社経営で大事なこと】だ。
結構、壮大なテーマだと思うが、私の中でこの1年はかなり会社経営のことを考えて試行錯誤してきた。
会社経営は業界や形態、経営者によってやり方が異なり「これが正解!」というものはないと思うし、経営者の先輩がたくさんいる中で偉そうに言うつもりもないが、私が実体験を通して考えている会社経営で大事なことを書いていこうと思う。(あくまでも自論だし現時点で!笑)
このテーマでいま課題を抱えている方へ少しでもお役に立てれば嬉しく思う。
1.会社経営で大事な3つの軸
最初に私は会社経営を行う上でこの3つの軸が大事であると考えています。
1つ目:会社の存在意義(大義)
2つ目:ビジネス戦略(競争戦略)
3つ目:人事戦略(採用/環境構築)
この記事では1つ目と2つ目について解説していきたいと思う。
1つ目:会社の存在意義(大義)
先ず1つ目の会社の存在意義(大義)は3つの中でも1番重要です。
もっと分かり易い言葉にすると企業理念やミッションとも言い換えられます。さらに嚙み砕いて言うと、その会社が世の中に存在する理由です。
世の中に存在する理由がなければ、より多くの顧客から支持されることもないですし、その会社の商品・サービスを買う or 使う理由も生まれません。
要は「なぜやろうと思ったのか」それは「世の中 or だれの」「どのような幸せ or 不(不満/不便)を」「高めるのか or 解決するのか」です。これが無いと2つ目のビジネス戦略にも進めないです。
会社の存在意義(大義)は絵空事でも構いません。大事なのは「ストーリーがあるか」ということです。どのような大義があって会社を立ち上げて事業を行うのかを明確にするのです。2つ目でビジネス戦略(競争戦略)について書いていきますが、ここで話をする際に「会社や事業を立ち上げた理由」と「誰に向けて価値提供をしていきたいのか」が、1つ目で定まっていないと的外れな商品開発やマーケティングを行い、結局だれにも刺さらない商品・サービスを作ってしまいます。よっぽど商品自体に魅力があれば別の話ですが、そういった商品は大概が誰向けに作った商品なのかが明確に設定されていて、消費者目線での課題解決ストーリーが盛り込まれているケースが多いです。
考えるときのヒントは「なぜやろうと思ったのか」「世の中 or だれの」「どのような幸せ or 不(不満/不便)を」「高めるのか or 解決するのか」です。これは一度決めたら変えてはいけないという事はありません。むしろ会社の成長と共に定期的に見直しをしてもいいと思います。
更に会社の存在意義(大義)を明確にしておく必要性はビジネス戦略(競争戦略)以外にもあります。それは人材採用でのギャップを減らすことや社員のエンゲージメントを高めるためです。そう、3つ目の人事戦略(採用/環境構築)にも繋がります。会社を立ち上げたばかりの時は働くメンバーも毎日顔を合わせてコミュニケーションを取れるし、会社の雰囲気や団結力は纏まりやすいです。でも、社員が増えてくるにつれて色んな考えの人が入ってくるし、仕事への価値観も多様化する。そんな時に「この会社で働く理由」を作っておく必要があります。端的に言うとお金を稼ぐだけなら働く場所なんていくらでもあるし、人が良いからと働いていても人間関係なんて明日にはどうなるか分かりません。特に仕事ができる人は自己成長意欲も高いので、この会社にいても自分が成長できない、この仕事ってホントに好きだっけ?のような疑問を持ったら、より自分が成長できる環境や好きな事、興味がある仕事ができる会社へ転職してしまうだろう。会社としての存在意義(大義)は働くメンバーにとっても進むべき「先を照らすコンパス」になるし、その会社で働く動機付けや会社をより好きになったり、自分の仕事が社会貢献に繋がっている事も実感できる。それにより採用後のギャップも減らすことができるし、自分の仕事を楽しんだり、誇りも持ってくれるはずだ。ただし、これは一朝一夕では浸透しないものだ。会社の社長や経営メンバーが話の節々にエッセンスを取り入れる必要があるし、「情熱的にメンバーに伝え続けていく」必要がある。会社によっては定期的に会社理念研修を実施したり、評価に連動させているところもある。ちなみに私の会社では社長が各課と会社理念や創業の想いを伝える研修を行っており、研修の後は食事会を実施している。
2つ目:ビジネス戦略(競争戦略)
さて、1つ目の会社の存在意義(大義)を定めたら次をそれを実現するためのビジネス戦略(競争戦略)が必要になる。なぜ戦略が必要になるかは考えてもらえれば分かるが、世の中には似ている商品・サービス、代替できる商品・サービスに溢れているからだ。ヒット商品・サービスでもいずれば競合に模範され、そのうち似たようなサービスに溢れて差別化が出来なくなったり優位性もなくなる。それを防ぐためにはビジネス戦略(競争戦略)が必要というわけだ。さらに前提を話しておくと、ビジネス戦略(競争戦略)の真の目的は「競合会社の商売を奪うことではなく、他社よりも高い価格で、他社より低いコストで運営を行い、利益を最大化すること」である。
いくら売上があっても運営コストが高くて利益が出なければ新しい投資や従業員の給料を上げる事も出来ないし、売上が下がってしまったらたちまち赤字になってしまう。逆に運用コストは少ないが売上も少なれければ、そもそもの収益獲得に繋がらないので同じく会社経営としては不安定である。なので「ビジネス戦略(競争戦略)の目的は他社よりも高い価格で、他社よりも運用コストを下げて、利益を最大化する事である。」実現するのは中々難しいが、この考えが大前提で重要だ。ただ、言葉だけ聞くと運用コストを抑えて高く売りつければいいのか?と考える方もいると思うが全くそうではない。そこでこの目的を達成するためにもビジネス戦略(競争戦略)が必要と言うわけだ。
ビジネス戦略(競争戦略)を考える上で大事な軸はたくさんあるが私は大きくこの3つと考えている。
1. 自社の強み整理
2. 商品・サービスの便益と独自性の整理
3. 商品・サービスのポジショニング整理
では、それぞれ解説していきます。
1.自社の強み整理
先ず一番最初に自社の強み整理をする必要がある。
その理由は自社が「やらないことを決める為に必要」だからである。
?がついた方がいるかもしれないが、やらないことを決める事はめちゃくちゃ重要です!会社経営をする上での資源はヒト・モノ・カネ・情報だ。そしていずれの資源も有限である。自社の強みを全ての領域において最高を目指すことは有限である資源の中ではほぼ不可能だし、実施しようものなら常に莫大なコストが掛かり利益などでないだろう。ズバリ言っておくと、ビジネスを始めるときに陥りがちなのが「全ての領域で最高を目指さなければならないという勘違い」だ。その商品・サービスを買う or 使う消費者にとってその商品・サービスが最高かどうかは消費者によって異なるし、すべての消費者に最高と思ってもらえるはずがないのだ。そしてこのすべての領域で、すべての消費者にとって最高を目指す思考は大体他社も陥っているので、結果的に他社と似たような戦略になる。それゆえに消費者からはちょっとの機能差や価格差だったりするので他社へのブランドスイッチ(他社に乗り換える)のハードルも低く、提供側もコスト勝負になったりする。ブランドスイッチ(他社に乗り換える)のハードルが低い結果、キャンペーンやクーポンなどの積極的かつ継続的な販促費用が必要になるし、薄利多売なビジネスに陥るのである。
昔スーパーで働いていた経験から言っても日配品はPB(プライベートブランド)でもない限り消費財メーカーから仕入れて販売するので利益率も低いし、他社との差別化も図りずらい。結果として日配品は他社同様の品ぞろえと価格設定にしていた。よっぽど店舗側に購買力があり大量のロット発注を行えば商品原価を下げ、価格優位性 or 利益確保も可能だが、それができる会社ではなかった。そこで私の働いていたスーパーでは生鮮に力を入れていた。日配品で他社と差がなくてもその分、生鮮で消費者を獲得していこうという戦略だ。私は精肉部門だったのでその経験から言っても、肉の仕入、売り場作り、鮮度、肉のバリエーション、切った肉の盛り付け方など他社と比べても強みがあったと感じるし、消費者からもよく「生鮮はここでしか買わない」と言ってもらえていた。
ここで自社の強みを整理する際に考える5つの軸を紹介する。
1. アクセス(買いやすさ)
2. 経験価値
3. 商品
4. サービス
5. 価格
上記に加えて各軸でのレベルも定義する。
1. レベル5
2. レベル4
3. レベル3
4. それ以下
整理するとこんな感じだ。
この考え方は星野リゾートの星野さんが提唱しているファイブ・ウェイ・ポジショニングであり、私もこの考え方を参考にさせてもらっている。更にすべての軸でレベル5を取る必要がなく、レベル5を1つ、レベル4を1つ、残り3つはレベル3でいいという考えだ。レベル5は市場を圧倒的に支配できる強みだ、レベル4は差別化ができる強みで、レベル3は他社と一緒でいいとうことです。なので、このフレームワークで言えば「アクセス(買いやすさ)」「経験価値」「商品」「サービス」「価格」の中からレベル5とレベル4を1つずつ定義すれば残り3つは他社と一緒でいいということです。皆さんが普段継続的に買う or 使っている商品 ・サービスを思い出してほしい。レベル5とレベル4に思いたる部分がすぐに思いつくのではないでしょうか?例えばハイブランドでいうと経験価値がレベル5で商品がレベル4、日配品で言えばレベル5が商品で価格がレベル4、コンビニで言えばレベル5がアクセス(買いやすさ)でレベル4がサービスのようなイメージだ。自社のビジネスにおいてどこを圧倒的な強みとして、どこを差別化するのかという事を決めたら後は他社と一緒でいいのです。
これにより会社の限られた資源をどこに注力して投資すべきかを判断できる。ピンときた方もいるかもしれないがこの考え方はブルーオーシャン戦略の中で用いられる「価値曲線」と同じ考えだ。今まで当たり前だった価値を提供しない、もしくは減らす代わりに新しい価値を圧倒的に強めるという考えだ。シルクドソレイユは今までのサーカス団の提供していた価値をなくす代わりにエンターテインメント性を強めて成功した。それが他社と同じ戦略を取ることを防ぐことに繋がるのである。要は「全てにおいて最高を目指すのではなく独自性を作ることが重要だ」ということだ。わかりやすい例でいうとローランドさんもホストなのにお酒を飲まないという独自性の戦略を取っていたと思う。そして何かをやらない or 減らすという選択は勇気がいる。失敗して下手したら倒産するリスクもあるかもしれない。しかし、だからこそ他社を引き離し独自の価値を作れるし、ターゲットとした消費者を獲得できるのである。例えば同じ能力を持った営業マンが同じ行動をしていたら同じような数字しか作れないし、独自の営業活動があるからこそ差が生まれるのだ。言葉が悪いかもしれないが、すべてに最高を目指す戦略は他社と同じことや真似事、今までの延長線上を行っているだけで、独自性を伸ばす戦略を全く考えていないともいえる。何を隠そう私も振り返ればそうであったと思う。笑
既に商品・サービスを展開している会社であれば、買われている理由や他社を選ばない理由を消費者や社内でアンケートを実施し、このフレームワークに当てはめて考えてみることをオススメします。そうすればおのずと自社の強みが浮き彫りになってくるはずです。仮にレベル5やレベル4が無かったとしても、強みになりうることがアンケート内容から検討できると思うので改めてどこを独自性の強みにしていくのかを検討してみてください。
2. 商品・サービスの便益と独自性の整理
自社の強み整理が終わったら次は「商品・サービスの便益と独自性の整理」です。
ここでの考えで重要な軸は以下です。
1. どの顧客に
2. どのような便益と
3. 独自性で
4. なにに特化して
5. なにを捨てるか
先ずは「どの顧客に」を決める必要がある。これは会社の存在意義(大義)を考えた時に想定していた「世の中 or だれに」をさらに解像度を上げたものになる。誰向けの商品・サービスなのかによってその層が抱える課題や視点、ライフスタイルは異なるし、マーケティングを行う上での手段やシチュエーションも大きく異なる。要は「ここを定義しないと商品開発とマーケティングプロセスにおいて致命的なギャップが生まれてしまう」ということだ。ペルソナ設定のように年代や性別、ライフスタイル等を最初に考えるのではなく、この商品・サービスは「その消費者がなぜ必要だと思うのか」「その消費者の特徴・特性はなにか」という仮説を立てるという事だ。端的に言うと消費者がその商品・サービスを使う必要がある背景を考えて、その消費者はどういった特徴や特性を持った層なのかを定義するということだ。これは仮説でよくて、消費者像は1パターンではない場合があるので、何個かの消費者像で考えておくと失敗した時やハマらなかった時に次の手が早く打てる。
次に「どのような便益と」を決める。「便益とは消費者がこの商品・サービスを使う or 買わないと困るのか?本当に必要なのか?を突き詰める」ということだ。想定する消費者の課題が本当に解決したい課題なのか、それを解決しないと(放置すると)どうなるのかを考える必要がある。買う or 使う理由がなければその商品・サービスのビジネスがそもそも成り立たない。
次の「独自性で」は似たような商品・サービスや代替できる商品・サービスがある中で「自社を選んでもらう理由」だ。これは自社の強み整理で行ったレベル5、レベル4が当てはまってくる。
その上でレベル5、レベル4の実現に向けて「なにに特化するか」を決めていく必要がる。例えば先ほどのハイブランドであればレベル5が価値経験なので、社員教育には積極的に投資をする必要があるかもしれないし、ベテランスタッフに長く働いてもらう必要があれば雇用制度や福利厚生にも積極的に投資する必要があるかもしれない。他方でコンビニのレベル5はアクセス(買いやすさ)だとすると、店舗出店する際のリサーチに積極的に投資する必要があるし、どの店に入ってもどこに何が置いてあるかすぐに分かるように店舗フォーマットを統一したり、改善することにも積極的に投資する必要がある。
最後は「なにを捨てるか」ですが、これは自社の強み整理で話したレベル3またはそれ以下にあたります。場合によってはその価値を提供しないという事もあり得ます。例えば昔は飲食店で店員さんが各テーブルにオーダーを取りに行っていましたが、今は消費者がQRコードを読み取りスマホで注文するようになりました。これにより非接触オーダー、人件費の削減、オーダー間違えが減りましたが、逆に店員さんからの料理の説明(おもてなし感)や抱き合わせ販売による単価アップなどは無くなりました。最初にこの仕組みを導入した会社も同様のメリットとデメリットを考えたと思いますが店員がオーダーを取るという事を捨てる戦略と取ったわけです。結果として今はスタンダードとなりつつありますね。例えば高級フレンチでは同じ戦略を取っていないですが、取ったらどうなるでしょうか?私はそういったお店にはおもてなし感や料理・食材のうんちくを聞きに行くのも楽しみに来店していますが、人によっては1人でさっと食べてさっと帰りたい人もいるかもしれないし、その層が実は多かったりするかもしれない。要は「今までの提供価値を根本から考え直して取り除いてみるという事を意識的に実施するという事」です。これにより運用コストを下げて、利益の最大化を狙うのです。
1~5の軸を何個か仮説を立てたら、一番可能性の高い順からその戦略を実施していくのです。これを繰り返すことがかなり重要で、会社が「一定規模以上になると経営陣やマネージャーは数字やKPIばかりを追いがち」になるのですが重要なのは「誰が顧客なのか」という事をきちんと理解した上で、その顧客に「どんな便益と独自性で」商品・サービスを選んで頂き、利益を最大化するために「なにに特化をしてなにを捨てるのか」を常に念頭に置きながら戦略を実施・改善することです。
3. 商品・サービスのポジショニング整理
最後は「商品・サービスのポジショニング整理」です。
これは会社の初期段階時には考える必要はないですが商品・サービスのラインナップを増やしたり、新規の商品・サービス開発を行う際に必要になってきます。会社には大きく2つの商品・サービス群が存在すると考えています。「コア商品・サービス」か「遠投商品・サービス」かの2つです。
コア商品・サービスは文字通り会社の看板商品であり収益のメインとなる商品・サービスにあたります。遠投商品・サービスはコア商品・サービスとは異なる使い方や顧客、販売方法で展開する第二の柱にあたり、端的に言うとコア商品・サービスの恩恵を受けない且つ関連性の少ない領域で新たな商品・サービス展開を実施するという事です。
第二の柱の遠投商品・サービスを展開する際はコア商品・サービスとの関連性が少ないので、既存のやり方や延長線上では成果は出ずらいです。さらにコア商品・サービスと同じマーケティング手法を取るとコア商品・サービスに対する消費者のイメージを壊してしまう場合もあります。なので1からビジネス戦略(競争戦略)を検討するということが必要になります。新しい商品・サービスを開発する際に、この棲み分けが出来ていないと新しい商品・サービスでの成果はあまり上がらないと考えていいと思いますし、消費者から会社やコア商品・サービスに対する認識や印象をネガティブに変えてしまう可能性もあります。
これは外部だけではなく内部の社員にもきちんと各商品・サービスの位置づけを説明する必要があります。遠投商品・サービスは企業理念やミッションに紐づいた商品・サービスなので、コア商品・サービスとの関連性が少ない分、社員がなんでこんな商品・サービスを新しく開発をするんだろう?と疑問を持たれたり、将来への不安を抱かれたりします。その上でも、きちんと各商品・サービスのポジショニング整理をしておく必要があると考えています。私はいままでこの整理をきちんと行っていなかったので結構失敗しました。笑
前半のまとめ
さて、ここまで「会社の存在意義(大義)」と「ビジネス戦略(競争戦略)」について書いてきた。私自身もまだまだ全て思うように体現できていないし、課題も沢山ある。笑
ただ、今はこの考えが一番しっくりきているし、これからもっと深堀をして解像度を上げていきたいと思う。その際はまた投稿させて頂きます。
現在、会社経営や何かを運営されている方で課題や悩みを抱えている方に少しでもお役に立てれば嬉しく思う。
次の記事では「人事戦略(採用/環境構築)」をつらつらと書いていきま~す。