映画「レミングたち」の覚書 | #8 板垣真幸
「レミングたち」では空撮や撮影・照明などの技術的な助手、制作部業務まで携わってくれた板垣真幸(マサキ)さん。フリーランスで幅広く映像制作業務に携わっています。
異郷にて
アメリカ留学中にとあるインディーズ映画に参加しました。監督はもう4年近くその一つの作品を撮り続けている執念の人で、キャストやスタッフの時間を調整しながら、お金を貯めながら、少しずつ少しずつハリウッドで撮影を続けていました。何の繋がりもなかった僕にとっては、その映画に参加して色々な人と知り合えるのは本当に貴重な機会でした。そして、その時にスタッフの1人として参加していたのがマサキさんでした。何度かその現場で顔を合わせるうちに意気投合し、砂漠に行って作品撮りをしたり、美味しいとんこつラーメン屋を教えてもらったり、アメリカ滞在歴の長かった彼とその友人・ケイティには本当にお世話になりました。彼らのおかげでまたグッと世界が広がった気がします。
即答
半年ほどずれて日本に帰国してからも、お互いフリーランスということもあり、誘えば何にでも気軽に参加してくれる彼にはいつも本当にお世話になっています。前述した大門さん、大山さんらが出演していた「わたしのヒーロー」にも声をかけると即答で助監督として参加し、尽力してくれました。スタッフからもキャストからも愛されるキャラクターで、ギリギリのスケジュールの中でも彼のおかげで楽しく乗り切ることができたと思います。
渡邉とは違った方向で映画に詳しく、特に編集や映画音楽に関しての洞察が深く、彼の助言にもいつも助けられています。普段はクリエイティブ部分も、制作のための実務的な部分も、映像に関わることはだいたいやってのけるその幅広さを尊敬しています。
昨年の夏に退院後にとにかく何か撮りたかった僕は、愛媛県佐田岬での撮影を彼に提案したところ、当たり前のように即答で参加してくれました。帰る日に台風がかち合って飛行機が飛ばず延泊をしたり、ドローンが風に流されかけたり、トラブルも多かった旅ですが、とても楽しく撮影することができました。
「レミングたち」にも即答で参加を表明してもらえました。基本、即答です。いつも口ではぶつくさ言ってますが、こんなに根っからのいい人はなかなか会ったことがありません。
「レミングたち」では、準備段階から色々と手伝ってもらい、意見ももらい、現場では技術的なサポートをしてもらい、ドローンまで飛ばしてもらい、米を炊いてもらい、東京-静岡間を車で何度か往復してもらい、本当にもらってばかりで感謝してもしきれません。
「久しぶりのデート」、これは彼の帰国後すぐに、マサキさんが監督、僕が撮影をして一緒に作った短い作品です。静かで、情緒的な演出の美しい作品です。最近は幅広くやりすぎているのもあってマサキ監督作品があまりないので、一本しっかり腰を据えた作品を作って欲しいなと思います。そして出来ればそれに撮影監督として呼んでもらって、恩返しできたらよいなと願っています。
お互いフリーランスで、今の世情の煽りを深刻に受けてこそいますが、しぶとくでっかいことを企んでいきたいです。
次は、渡邉瑠菜さんについてです。
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