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書評 『阪神園芸 甲子園の神整備』、金沢健児著、毎日新聞出版、2018年

本書は、あの美しい甲子園のグランドが如何にして作られ維持されているのか。そのことが分かる本だ。

著者は、2003年7月から甲子園のチーフ・グラウンドキーパーを務める金沢健児氏(出版当時)。本の内容は、主に三つの部に分けられる。

①「神整備」と呼ばれる職人技の紹介。②金沢氏の生い立ちと職歴。③いわゆる「リーダー論」である。

最も、私が面白いと思ったのは、「グランドキーパー」は「足」で、グランドの状態を確かめるということだ。普段、私たちは、「手」で土の状態を確かめるのではないか。

これには、当然の理由がある。当り前だが、一般人にとっては手に最も「触覚」が集まっているからである。それでは、なぜ「グランドキーパー」は「足」を使うのか。

それも至極当然で、試合中、選手の体で、最もグラウンドにふれているのが、「足」であるからだ。選手達は、「足」を使ってプレーする。

すなわち、プレーしやすいグラウンドというのは、「足」を使いやすいグランドである。

これに関して、選手と著者の間で「もっとグラウンドを固くしてくれ、柔らかくしてくれ」との具体的やりとりが描かれているが、それは「ネタばれ」になるので、ここでは書かない。

如何にこのプレーしやすいグラウンドを作り上げ、維持するかという職人技が本書の目玉である。

甲子園のグラウンドの美しさにふれたい方は、甲子園に足を運ぶことをお勧めする。

私は、神戸に住んでいるため、時々、甲子園に行くが、あの夏の甲子園のグラウンドの美しさは、何回行っても感動する。特に、熱いが外野席から、観る景色は圧巻である。



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