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シティー「降格」の危機⑧ーシティーは「時間稼ぎ」をできない。今期に決定はでる。EPL規則を読む。
前回までの記事では、プレミアリーグ V.S. マンチェスター・シティーの争訟がプレミアリーグが規定する「仲裁廷」(Arbitration)で行われていることを紹介した。そして、2024年-2025年シーズン内に当事者が「上訴」(Appeal)できるようにするため、「決定」(Decision)が急ピッチに、年明けに行われることも紹介した(争われているのは130事件である。)
そこで、ハッとしたのが、もし上訴を外部の裁判機関にすれば、せっかくスケジュールを早めた意味がなくなるのではないか、ということである。この点を曖昧なまま記事を書いていた(言い訳ではあるが、イングランドの報道でも手続きに関しては、はっきりと書かれていない。)
そこで、プレミアリーグの規則を読んでみることにした(Premier League Handbook 2024/25, 25 July 2024。pp.273-300, https://www.premierleague.com/about/publications)
まず、結論であるが、上訴はプレミアリーグが規定する「上訴委員会」(Appeals Committee)で行われる。上訴の形式は、書面で行われ、当事者は新たな証拠を提出できるが、証拠調べ(証人喚問等)の可否は「上訴委員会」が決める(裁量権がある。)
そのため、「上訴委員会」での「決定」は迅速に下されることが予想できる。そして、この「上訴委員会の決定」が最終で当事者に対して拘束力を持つ。
以前の記事で、シティーは時間稼ぎをするのではないか、と邪推したが、これは間違いであった。「上訴委員会」の裁量に委ねられているので、当事者のタイムラインでは物事は進まない。
以上が、重要な点である。もし、今シーズンのシティーの成績に関して、何らかの「決定」を下す場合には、今回の「仲裁廷」のように、急ピッチのスケジュールを組むことも可能である。
大きな話に戻る。このプレミアリーグの規則がいつ書かれたものか分からないが、かなり包括的で詳細に書かれている。読んでいて感心した、まさに今回の「争訟」を予見していたみたいだ。法的に興味深い規定はたくさんあるので紹介したいが、とにかく、今シーズン中にシティーに「決定」が下されることは確実であろう。
来週の木曜日(10月3日)に総会が開かれるようだ。これは、プレミアからシティーへの130件の訴えがされた後のはじめての総会である。色々な情報が出てくると思うので、追って報告する。
また、大変申し訳ないが、前回まで紹介したプレミアリーグの一連の規制の流れの中で、UEFAの新しい"Cost Control rule"が背景にあることを指摘していなかった。このルールの詳細も追って、解説させていただきたい。