アイノとアルヴァ 二人のアアルト
モダン建築家のアルヴァ・アアルトとデザインパートナーであり妻であるアイノ・アアルトが出会い世界的な建築家、デザイナーとして軌跡をたどる2人の展覧会です。
建築は家具と保管し合うものと考えていたアルヴァと、日常の暮らしを心地よい生活するというテーマでデザインするアイノで取り組まれた建築模型や家具、照明、食器などを使ったショールームのような一室が再現されています。
家具の紹介では、フィンランドの自然環境を生かたバーチ材を使い新しい曲げ木の技法の開発で生まれた「スツール60」が紹介されています。椅子の足の部分を直角に曲げる技術「L - レッグ」を応用したシリーズのひとつで、 現代においても豊富なカラーと仕様のバリエーションを揃えています。 サイドテーブルやディスプレー台とあらゆる用途に馴染むシンプルで普遍的なデザインは世界中で愛され続けています。
考案したデザインは実用性や機能性を取り入れ量産を念頭を取り込まれています。
建築設計も規格化しコストも抑え量産できるデザインで集合住宅や、患者が使いやすさと安らぎを与えるデザインのパイミオのサナトリウム(病院)などがあります。サナトリウムは結核患の療養所です。病室は常に新鮮な空気を取り入れる空調設計や直射日光が患者にあたらないように窓にも工夫がされています。掃除がしやすように床から離れたワードローブは目に優しいカーブを描き、備え付けの洗面台は水が飛び散らないよう深く穿たれ水の音がしないように設計されています。「41 アームチェア パイミオ」は肺に負担がかからないように設計されゆったりと座れる工夫がされています。患者の視点に立った設計で人間本位の空間を大切にされているモダニズム建築です。
アアルト夫妻はマイレ・グリクセン、美術史家のニルス=グスタフ・ハールとともににインテリアブランド「Artek(アルテック)」を設立します。Art(芸術)とTechnology(技術)に由来したアートとテクノロジーの融合の造語です。当時では珍しく、家具だけを並べる展示ではなく自宅のダイニングセットのようにインテエリアアクセサリーを自由な組み合わせでディスプレーされています。また、ショップの中にギャラリーを備えパブロ・ピカソやフェルナン・レジェの展覧会を開催します。モダニズムの文化を促進することで家具やインテリア、アート、工芸が一体となって生活の提案を行う活動をします。
19世紀末から20世紀初頭にかけて世界的に大きく変化し、一般的な家庭も家(部屋)のあり方も変わってきた時代。人々が求めていた機能的で経済的な設計から安らぎを与える建築へシフトし、家具は生活の道具だけでなく心に潤いを与えてくれる。自然と共にある建築を目指した2人だからできるデザインです。
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