Re:home クロストローク
@seian_art_center #成安造形大学
「家」をテーマにそれぞれで作家が住処、住宅内装、同居家族、地域コミュニティにフォーカスし作品を制作されています。いろんな角度から捉えることで展覧会は住まうこと、住宅空間、家族、地域での位置付けや役割が見えてきます。私たちにどのような役割を果たし、どう必要なものなのか問い掛けてくるようです。
@akiinomata #akiinomata 「girl. girl. girl . . . 」
ミノムシにブランド服の端切れを与えてミノ(住処)を作らせたものやその過程の映像、ファッションを纏ったトルソが展示されています。INOMATAさんは生物の特性を観察し、独創的な制作をされています。
ミノムシが身に纏うことを人間に例えるなら、集団統一の一環や、そこからの自己主張、表現、ジェンダレス…さまざまな形で現れる衣服は私たちが服を纏うことから見えてくる表現を自身に置き換えて考えさせられます。
@satomag #松井沙都子 「Home Interior」シリーズ
定価で作られた既製品のカーペットや照明器具で制作されたインスタレーション作品です。モデルルーム、ハウス(住める設備がないが家)に似ていると作家も考えていて、モデルハウスは理想的な居住空間とは対照に、壁と床と光にフォーカスし単純化された素材だけで構成された作品です。
住むことを具体的にせずに表さず、家らしい空間をギャラリーの中で表現する事で見えてくるものとは何だろうか。
家とは社会の末端である。となれば家を見返すと日本の社会のあり方が表れてくると松井さんはインタビューに答えられていました。
どこにでもある「家」像を作り出しマイホームとはどういったものなのか、オリジナルマイホームとはどういったものなのか考えさせられます。高級感のあるモデルルームはやはり自分の生活とかけ離れていて、モデルルームが作り上げられた偽物の空間は違和感しかなく生活を考えられない。しかし松井さんの作品の方がリアルで自分の家に近い感じがして何だか落ち着き短に感じました。身の丈にあった部屋が一番落ち着く、格差社会が見えてきます。
@kayofunada #ふなだかよ 「Mt.love」「for you」,「fall」「サンプリング」
母親から過度の愛情を受けないと愛されていると感じなかった作家の心情を表現された溢れているカレーライスは、理想とする親子関係に執着している精神的な部分を表面化させている作品です。こちらと対峙させた作品が、出産後に制作された作品です。我が子の着れなくなった子供服を落下させた写真は自身の子供が幼かった時の記憶が忘れていかないか不安である事を表現されています。
母親となり立場が変わった作家は新たな気持ちを体験し、鋭くも素直に表現されている作品だと思います。
同じ家に住み共に成長していく親子関係は家庭それぞれ独自のものだと思います。子供の頃の親子関係は初めての他者との繋がりであり、その関係が人との関わりの基準になります。家はその過程を見守っているのだと思いました。
@yasutake_iwana #岩名泰岳 「蜜ノ木ロゴ」他
岩名さんは地方で芸術活動をされていましたが、自分の故郷へ帰郷し、芸術集団を結成し故郷の村で活動されています。
故郷の自然や村を家と擬え、村が過疎化して行った過程を子供の頃に感じたことや、村の行事を踏まえて見えてくるコミュニティの姿を表現されています。道路標識をあしらった看板はこれからの村を導くものなのだろうかこの標識はギャラリースペースだけでなく、大学内にいくつか設置されています。村のコミュニティは人の温もりや繋がりの安心感があるように人々が住まう大きな家のようです。
「家」を内から外から探ったものは観覧者にストレスなく入ってくるよう落とし込まれているように思いました。「家」から見えてくる現代の私たちの生活や社会の問題にフォーカスされた作品からは、生活の仕方や自分の経済状況からどうしようもない現状を改めて見せられたように思えました。
ただ、説明があってこその内容だなとも思いました。現代アートの展示の仕方(見せ方だけでなく)説明というのも必要なのかもしれないと思うことがあります。いい作品も作家の表現したことが分からないと、どう思うかまで持っていけない。作品を見た目だけで分かろうとするのは限界や偏った表現になってしまう危険があります。わかってくれと表現者が鑑賞者に押し付けるのことではなくて、ただ作品をみて(内容)どう感じて良し悪し、合う合わないを判断できるとこまで持っていける見せ方の工夫がいると最近思っています。
作品の面白さに気付けばもっとアートに触れることが楽しくなるはず。自身の短なところで発見するかもしれない。そのきっかけになる工夫が欲しいです。