「完全教祖マニュアル」を読んで、集団を作れる個が輝くこれからの時代の生き方を学ぼう

キンコン西野さんやけんすうさんがおすすめしていた

完全教祖マニュアル

を先日読了しました。

コミカルな口調で書かれているので、非常に読みやすく、宗教への知識がゼロでも全く問題ありません。

興味深かった点を箇条書きベースで残しておきたいと思います。


序章 キミも教祖になろう!

・教祖の成立要件は、「なにか言う人」と、「それを信じる人

・日本は、なんとなく無信仰なだけ。
このスタイルは、明治政府の政策が起因
「海外から信仰の自由を認めろとプレッシャーがかかっている」
「けど、天皇は信仰してほしい」

という板挟みにあっているうちに、天皇だけ崇拝する文化が生まれた。第2次世界大戦後は、天皇崇拝の部分だけ抜け落ちて、無信仰がなんとなく続いてる

1章 教義を作ろう

・ぶっちゃけ神がいるいないはどちらでもよく、どんな機能を期待するか?が大事
機能の例)努力しても上手くいかなかった時の言い訳

みたいな感じで、自分が解決したい世の中の課題から神の機能を考えていくと良い

・上記をオリジナルで作るのは難しいので、既存の宗教を焼き直す方法を本著では紹介

・宗教というのは、誰かの霊的体験がベースになってる。
でも、組織が大きくなると、個人の霊的体験を危険視するようになる。
(それに基づいて勝手な行動を取る可能性があるから)

だから、自然と宗教は硬直化していき、どこかのタイミングでそれが弾けて多くの宗教が生まれてきた

・教義は今の社会の前提に疑いを投げるものがよい
①社会の基準で幸せじゃない人を見つける
②反社的な基準で彼らを救う

・宗教には、高度な哲学が必要
ここでいう哲学というのは、社会の問題点と宗教が掲げる突拍子もない前提をつなげる論理的思考のこと。

これを作るのは論理的思考力がないと無理だから、インテリに任せるべき。逆にインテリは突拍子もない前提を置くのが難しいから、そこだけ共感してもらえたら、あとは勝手にやってくれる

・宗教に高度な哲学を備えたとしても、宗教組織に属する多くの一般人には到底理解されない

ヒトラーの言葉にあるように、

どのようなプロパガンダも大衆にあわさなければならず、その知的水準は獲得すべき大衆の最低水準の人々が受け入れられるようにあわさなければならない

と、出来るだけ簡単にした教えにする必要があり、説明を丁寧に行う必要あり

・多くの一般人が何を求めているかというと、それは現世利益
現世利益を与えるアプローチは様々で、プラシーボ効果ともう一つ「その人が好いと思うことを素直に実行させる」という方法も本作で紹介

なぜ善行を素直にできないかというと、人間は悪行、善行にも「理由」が必要だから。
宗教の場合は、教義によってこの理由を付与してあげることができます。つまり、周りをハッピーにすることができ、自分のハッピーにも繋がる。

悪行や善行に限らず、やりたくないけどやるべき習慣をやるきっかけとしても教義は機能することができる

第3章 信者を保持する

・無宗教の人にとって、不思議な事は不安なもの。この不安の発生要因を解消して上げれることで、教徒を獲得できる。
では、どうやって解消するか?

その方法は、適当な意味づけ

人間は、分からない者に対して恐怖心をいだく。
つまり、「この怪奇現象には○○の意味があるんだ」意味づけがしっかりとできていれば、不思議なことはもはや要因がわかる不思議ではないことになる。
ここの意味づけがしっかりできていれば教徒は取り込めるし、彼らは自分の身の周りに起こった不思議なことを出来るだけ要因が分かったままの状態でとどめたいから、教徒で居続けるというサイクルが生まれる。

・他に信者を保持する方法として、「食事制限をしよう」と本著では述べてる。
例えば、他の人が豚肉を食べている中、自分が食べないとか。

そんな制限された状況でどういう心理状態になるかというと、外部からの異常視により信仰心が強化される。(副次的な効果として、食事が合う人としてコミュニケーションをとらなくなるため、同コミュニティでのみ結束が強まるという利点もあり)

第4章 教義を強化させよう

・教徒には義務を与えることで、「僕は○○をしたから、報われる!」という安心感を提供することができる。つまり、教徒がハッピーになるので、義務があった方がよいと考えている。
また、権威を振りかざして義務を強いることは、教徒を良い意味で思考停止(教徒にとってはは、思考の手間が省けてラッキー)にさせることができ、教徒の人生への満足度も向上する。

また、「科学も宗教」であるため、科学的な体裁を持った教えがあると良い。

第5章 布教しよう

・布教のためには財力が必須であり、その財を得るためには、金持ちにお金を落としてもらう必要がある。
金持ちであろうと死ぬのは怖く、死を予感させるような不幸を呼び寄せないためにも徳を積もうという志向に至る。そんな彼らが、より安心感を得るためにはVIPな寄付を用意してあげるべき。
「周りの人より徳を積んだから、俺は幸せになれるはずだ」という感情にさせるためのはけ口を用意してあげるということ。

・また、社会的弱者に対してもお金持ち=幸せの幻想がいまだにはびこる現社会から脱させるために、お金を寄付してもらうアプローチもある。

教徒同士が仲間意識を持つようなイベントは、宗教をしていく上で重要。
コミュニティで仲良しを見つけることで、離脱率は下がっていく。

・宗教建築物は、俗世から離れたような感覚を味わえる空間を作ることが大事で、ディズニーランドが最も成果を上げている実例。
しかし、その対抗馬として伊勢神宮を紹介。

第6章 困難に打ち勝とう

・宗教を続けていくと、必ず異端が発生する。これは組織の常。
本著では、 そんな異端を追放するべきだと言ってる。内部では重要な問題かもしれないが、外部からは本当にどうでも良いことであり、博愛でないという印象を持たれるかもしれないみたいな不安は杞憂。

迫害はむしろ組織の結束力を高めるもの。(恋は障害が多い方が燃える的な)
ついでに、迫害に負けずに信念を貫くと、のちに美談として語られることが歴史上では多い。

第7章 甘い汁を吸おう

・教祖が書籍を出すと、信仰心から教徒は確実に買うし、何なら布教のために何冊も買ってくれる。
つまり、よく売れるのでたくさんお金が稼げる。

・このウハウハな状態において、本著ではそのお金をあえて寄付に回せと書いてる
理由は、
①教徒が、自分の寄付したお金の使い方に高い満足度を覚え、また寄付しようと思ってくれる
②寄付した先から、シンプルに名誉と信頼を得られる
③上に少し付随していますが、返報性が働いてくれる
=送った恩より大きな徳を得られる

からです。君主論のマキャベリが

自分のお金はケチっても、人から奪ったお金はケチらず振舞え

と言っているのですが、まさにその通りにすべきということです。

以上、だいぶ長い備忘録になってしまいましたが、非常に面白い話でした。

特にこれから集団を作れる「個」が輝く時代なので、この教祖力を実社会に転用していくべきだと思います。
ちなみに、電車の中で読んでいると二度見されるので注意してください。笑


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