星野リゾートの本を読んで、顧客満足度を上げる組織体を学ぶ

トップも知らない星野リゾート」という本を読みました。
星野リゾートは、デカイ組織なのに、結構フラットな組織体を達成しています。
その理由を探るためにこの本を読んでみました。

感想を箇条書き的に残しておこうと思います。


・地方創生にも興味が沸き始めてる自分にとって、シンプルに面白い

星野リゾートでは、苔、入浴法とか個人の好きと地域の特性の掛け合わせがサービスになっています。あり者を上手に使ってサービス化することに気持ちよさを感じる僕としては、この話がシンプルに面白かったです。

ちょっと組織設計的な目線で、なぜ現場の声がサービス化し、それが成功するのか?を考えてみます。

フラットな組織だから意見が言いやすいのはもちろん大事なんだろうと思います。

でも、意見やアイデアは思いつくより実行する方が圧倒的に難しいと言います。

その理論を踏まえるならば、従業員が出したアイデアに対して、責任を持ってやり切る力が強いなと思いました。

じゃあ、このやり切る力の高さは、星野リゾートの従業員が優秀なだけなのかといえば、組織面での工夫があると考えます。

その工夫が、「情報アクセス性の高さ」と「承認プロセスが少ない」ではないかと思います。

つまり、やりたいことをやるってなったら、断念する言い訳がない環境を作れているのが、星野リゾートの成功の秘訣なんじゃないかと思います。
(知らなかったから、中々承認が降りないからという言い訳は言えないから、ある意味ストイックで。最初は苦しい)

・星野さんの意見は良い意味で聞かない
星野さんって意見がはっきりはっきりされてる方で、「これは絶対売れない」とか「私は反対だったから」とかをちゃんと言います。
でも、決定権は無い。
だから、従業員がいいと思ったらプロジェクトがスタートします。

この意見合流が活発だけど、リード役はブレない組織文化はさすがです。

ついでに言うと、星野さんって従業員のことをすごいよく知ってるなと思いました。
本でも「この人が、こんな風にな?とは思わなかった」とよく言っていて、社長がそこまで従業員一人一人の過去から目をかけていたのかいと、非常に驚きました。

ちなみに、星野リゾートには社長の付き人を従業員でローテするという素晴らしい仕組みがあるようです。最高すぎですね。

・リーダーが上というわけではない 

リーダー役はどうしても存在してしまう役割ですが、決してその役割が上という概念がありません。
その役割は2年目から立候補できるし、一回現場に戻って現場感を思い出してからまたリーダーに復帰する人もいるらしいです。

若い人も必要な権限と情報があれば活躍してくれるという信頼感と、地雷だけを踏まないようなフォロー(=障壁にはならない程度というバランス感覚は大事ですが)の仕組みが整っているからなせることですね。

・社内教育制度の充実っぷり
なりたい役職に就くために必要な情報やスキル習得は、オープンになっています。

中でもスキル習得は、社内塾が存在しています。従業員は休みの日に自主参加でそれに参加してスキル習得に努めます。

そして、その塾での開講内容は評価項目と結びついていて、塾での学びを生かした行動か?という視点で評価が下る仕組みです。

社内研修制度の充実っぷりは素晴らしいですね。もはや外部の僕も受けてみたいです。

こーんな感じで学びになる点がいっぱいあったのですが、最後の章の星野さんが語ってる解説部分で最も思考が進みました。

具体的には、

ホテルでフラットな組織が重要なのは、サービスの即時性が高いから

と言う部分です。

つまり、ホテル業界というのは、その場その場のサービスの質がそのまま顧客満足度につながる業種ということです。

星野リゾートと似てるとこでいうと、ディズニーとかも、顧客満足度を高めるために各従業員がサービスの質を高めるような行動が求められる即時性の高い仕事です。そして、彼らは体現できていますね。

裏を返せば、即時性の高い業種は、意思決定権が上層部にあることに危機感を感じやすいということかと思います。

ここで僕としては逆に、即時性の低い組織(=他人にお伺いを立てる時間が十分にある仕事をしている組織)は、どうやったら危機感を感じるか?が気になってきます。

そこについては星野さんが

製品を売ってる会社も、アフターサービスやリピート購入を含めた仕組みに力を入れ始めてる

と述べており、この内容で、点と点が線になってきました。

つまり、商品の質が均一化されている現代で、大事になってくるのは、現場での即時性サービス力に移行していきます。
ここでのスピード感・柔軟性が高いほど顧客満足度が上がるようになる。

そういう未来になってきた時に、初めてより多くの企業がフラットな組織の取り込みに力を入れるのではないかと思いました。

以前、noteで「現代って本当に変化が激しい時代なのか?」という投稿をしました。

変化が激しいだけでは危機感を感じない多くの企業が、どうすればフラットな組織になることに危機感を感じてくれるか

を最近ぼんやり考えていました。

が、本著を通して、その解の仮説が出ました。

顧客満足度向上の重要な部分はどこか分析
→サービスの質(現場力)が大事なことが数字で見えてくる
→サービスの質に求める要素を分析する(恐らくスピード感とか柔軟性?)
→スピード感と柔軟性を兼ね備えるためには、今の階層型組織ではまずいじゃん!

こういう流れで危機感は作り出せるのではないかと思いました。

つまり、変化が激しい時代というのは、
最低限のニーズは満たされた中で、顧客の多様性に応えることで満足度を高められる時代」という説です。

今後壁打ちしたり、実務に活かしながらこの仮説を磨いていきたいと思います。

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