かいじゅうたちの住むところ。~WURCの日常~
戸田公園の駅から徒歩10分のところの住宅街の中に、ひときわ目立つ建物がある。目線を上げると、2階ベランダでは洗濯物が干されており生活感が溢れている。一日で何回も出入りされる玄関は、初めて訪れる人がよくわからないまま通り抜けてしまいそうになる。その玄関の壁は、えんじ色で染まっておりWASEDA UNIVERSITY ROWING CLUBと文字が刻まれている。
----そう、ここは早稲田大学漕艇部。”かいじゅうたちの住むところ”だ。
平均身長175cmオーバー、平均体重は75㎏位で平均体脂肪率は13%台(男子)。そんな体が出来上がっている男子漕手は合計で28人いる(現時点)。日本の平均身長くらいの私がこの空間で日々過ごしていると、とにかく見上げることが多い。特に女子漕手の中でも1番背の低い私は、女子の中にいてもいつも目線は上の方に向けなければいけない。
食事編
まず一日の始まりは、寮に住む男子部員たちが前夜に作った朝ご飯から始まる。そのご飯を作る食事当番は通常20時から始まり、時には音楽をかけながら班の仲間と料理をしていく。冷蔵庫に張り出された献立を見て品を完成させる。そこに手間のかからない魚のメニューが書かれていると喜ぶ様子も見られる。行程や材料の大きさや味に対するこだわりはそこまでなく、”THE 男料理”と表現するのが分かりやすいだろう。味が微妙になってしまった時は、「みんなごめんね」とひとこと言って作業を終了する。ちなみに、定番メニューは卵、そぼろ、ほうれん草の三色ご飯だそう。
練習を終え、気づいたら10時過ぎになることが多い。そこから食事を摂る人もおり、人それぞれの生活スタイルが見受けられる。女子の人はここから家に帰ってブランチをする人もいるとか。
お昼は食事提供がなく、自分で準備する。食べる時間帯も食べるものも人それぞれで12時から14時過ぎまで食堂スペースには人がぱらぱらと出入りする。フライパンをお皿代わりにして、お昼ご飯を食らう豪快な輩もいる。そこは目をつむっておこう。
夕方16時過ぎになり、マネージャーさんたちがキッチンで”艇庫ご飯”の支度を始める。およそ30人分の食事を3人くらいで準備する。もちろん時給は発生しない。1食あたり男子は500円女子は450円の、量もバランスも良い低価格なご飯を提供するために無給で作ってくれている。手際よくこなさなければいけないため、料理の腕は格段に上がるそうだ。
お米の量はビュッフェで置かれているような保温機2台にびっしり詰められるくらいを釜で炊く。そのため、おしゃもじは通常の家庭サイズのおよそ5倍の大きさを扱う。保温機の横には計量器が置いてあり、ごはんの量は体重ごとの目安表を見ながら調整することができる。
6人テーブルで自由席の食堂。ここでの食事を通した交流は1日の中の楽しみの一つとなっている。吹き抜けで開放感のあるWURCの食堂は、男女仲の良さの秘訣となっているに違いない。
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