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【百年ニュース】1921(大正10)8月31日(水) 彫刻家の高橋剛が山形県酒田市千代田で誕生。生家は代々神社仏閣の木彫を業としており,父に師事し木彫をはじめた。1946(昭和21)東京美術学校(現東京芸術大学)卒。1954(昭和29)第10回(改組前)日展に《バレリーナ》を出品以降,このテーマを生涯追い続けた。1985(昭和60)第17回日展で《稽古場の踊り子》で日本芸術院賞恩賜賞。1991没,享年70。
彫刻家の高橋剛が山形県酒田市千代田で誕生しました。山形の生家は代々神社仏閣の木彫、いわゆる宮彫師を生業としておりました。高橋剛も幼いころから父に師事致しまして、家業である寺社仏閣の木彫をはじめました。
1940(昭和15)年、19歳で上京しまして、翌年東京美術学校(現在の東京芸術大学)に入学し、彫刻家の関野聖雲に師事して技を極めていきます。途中第二次世界大戦を挟みまして、1946(昭和21)年に東京美術学校を卒業しました。
そして1947(昭和22)年に早くも第3回日展に入選、のち精力的に作品を制作しますが、転機となりましたのは、1954(昭和29)年の第10回日展に《バレリーナ》を出品したことです。以降高橋剛はこのテーマ、すなわちバレリーナをモチーフとした彫刻を生涯追い続けることになります。
街中を散歩しているときに、普段はあまり意識しないのですが、よく観察すると、実は日本は街のあちこちにブロンズの彫刻があることに気付きます。日本のパブリックアート、いわゆる公共芸術の王道が、これらのブロンズ彫刻になります。主に地方自治体によって、都市開発事業と一体になって、恒久的な公共芸術としてブロンズ彫刻の設置が80年代に大変流行いたしました。
それらの街角の彫刻のなかでも、もし女性のバレリーナの像を見つけたならば、ほぼ間違いなくそれは高橋剛の作品だと言って良いようです。有名なところでは東京メトロ東西線の西葛西駅北口で待ち合わせ場所として使われているバレリーナ像《躍》。練馬区立練馬文化センターに隣接するいちょう並木公園の《踊り子》、名古屋市営地下鉄舞鶴線の浄心駅6番出口の《バレリーナ》像などです。
高橋剛がどうしてバレリーナ像にそこまで惹かれたのか。その説明として、鍛えぬかれたバレリーナの肉体をモチーフに、そこに宿る清くて美しい精神の表出を試みた、あるいは、生命感ある躍動的なフォルムのなかに、永遠の女性美を求めた、というような評価があるとのことです。岩井俊二監督の映画『花とアリス』の最後の場面、女優の蒼井優がオーディションでバレエを踊るシーンを思い出します。美しさ、美を感じる人間の感性は、時代を越えて繋がってるなと思ったところです。
高橋剛は1985(昭和60)第17回日展で《稽古場の踊り子》で日本芸術院賞恩賜賞を受賞しました。1991年没。享年は70歳でした。
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