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【Voicy】今年こそ村上春樹に受賞して欲しい #ノーベル文学賞(2021.10.6放送)
こんにちは、吉塚康一です。私は会社経営の傍ら近代史を研究し、「百年ニュース、毎日が100周年」という放送をお送りしています。本日はいつもの内容とは違うのですが、「#ノーベル文学賞」というテーマで放送を収録してみたいと思います。タイトルは「今年こそ村上春樹に受賞して欲しい」です。よろしければ最後までお付き合いをお願いします。
さて2021年のノーベル文学賞は明日10月7日(木)の午後8時頃、スウェーデンの首都ストックホルムで発表される予定です。毎年話題になるのは村上春樹が受賞するかどうかという点ですが、今年こそはという期待も込めて、受賞の可能性をエールを送りたいと思います。イギリスのブックメーカーの賭けの予想では、村上春樹は受賞の最有力候補の上位6名のうちに入っているとのことです。もっともブックメーカーとスウェーデン・アカデミーは何の関係もないので、本当に候補に挙がっているのかどうかすらわからないのが実情です。事実2016年のブックメーカーの予想では村上春樹が1位でしたが、実際には受賞を逃しました。
私も高校時代に村上春樹をよく読んでいました。80年代は私青春真っ盛りで、『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『中国行のスロウ・ボート』『羊をめぐる冒険』あとは『村上朝日堂』です。学校のなかで非常に流行っていまして、ハマって何度も読み返していました。非常に文書が平易で読みやすく、またアメリカンカルチャーがたくさん登場して、カッコいい小説、という認識だったです。ノーベル賞候補になるような作家という認識はありませんでした。
日本人のノーベル文学賞受賞者は過去に2名だけです。1968(昭和43)年に川端康成。そして1994(平成6)年に大江健三郎です。もし今年村上春樹が受賞すれば27年振りということになります。今年は東京オリンピックで世界の注目を集めたこともありますので、ぜひ受賞してもらいたいところです。
さて来年の干支は虎ですが、虎がバターになる物語を御存知でしょうか。絵本の『ちびくろサンボ』です。虎が木のまわりをぐるぐるまわってバターになっちゃう、そのバターで主人公のサンボがパンケーキを焼く、というものです。
この『ちびくろサンボ』ですが、最近では人種差別的ということでかなり非難されています。また虎がバターになるというのも、若干グロテスクというか異様な感じ場面ですが、これが村上春樹の比喩表現にかかると、非常に面白くて、ある意味ロマンチックなものになります。
村上春樹の小説『ノルウェーの森』でワタナベがミドリに言った有名なセリフですが、
「君の着るものは何でも好きだし、君のやることも言うことも歩き方も酔払い方も、なんでも好きだよ」
「本当にこのままでいいの?」
「どこをどう変えればいいのかがわからないから、そのままでいいよ」
「どのくらい私のこと好き?」
「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好きだ」と僕は言った。
村上春樹(2004)『ノルウェイの森』講談社
村上春樹の比喩のなかでも有名なものですが、それってどれくらいなんだ、どくれくらい好きなんだ、さっぱりわからない感じもするわけですが、ほかにもミドリから「どのくらい好き」と聞かれて、「春の熊くらい好き」とか「山が崩れて海が干上がるくらい可愛い」とかですね、このファンタジー感がやっぱり村上春樹の小説の良いところですから、リアリズムを求めるほうが間違っているわけです。明日の発表が非常に楽しみです。
ところでノーベル賞の候補者が公表されるのは50年後です。1947(昭和22)年と1948(昭和23)年の二年連続でノーベル文学賞候補者として賀川豊彦が上がっていたことが判明して、日本で驚きが拡がりました。賀川豊彦の1920(大正9)年の自伝的小説『死線を越えて』は確かに100万部を突破するベストセラーだったわけですが、賀川は作家というよりも、キリスト教系の労働運動家として有名であり、日本においては賀川の小説に文学的価値を認めている人は皆無だからです。
ノーベル賞の季節になるとここ数年は必ず下馬評に挙がる村上春樹ですが、実際のところスウェーデン・アカデミーが村上春樹を候補にしているのかどうかすら本当のところはわからない、ということになります。しかし日本人としては是非三人目のノーベル文学賞、期待してやまないところです。
ということで、本日は「#ノーベル文学賞」「今年こそ村上春樹に受賞して欲しい」というタイトルでお送りいたしました。もしご参考になったのであれば大変嬉しいです。そして是非是非フォローを宜しくお願い致します。以上「100年ニュース」「毎日が100周年」吉塚康一でした。ご機嫌よう。
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