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【百年ニュース】1921(大正10)3月20日(日) 珍品五個事件で野党憲政会総裁,加藤高明への反感が高まる。東京日日新聞は社説で,内田汽船社長内田信也からの5万円の資金協力と引き換えに憲政会の功労者尾崎行雄と島田三郎を応援しないことを約束した加藤総裁を「残酷」と非難。
3月20日,内田信也来訪,加藤高明は確かに内田には普選反対を物語りたり。
ゆえに加藤内心は普選論者にあらざりしと言えり(その通りなるが如し,要するに加藤は部下に強いられこれを統御する力なく引き入れられたるものの如し),また内田将来は政事界に入らんかと物語れり。
相当の財産も有することゆえあるいはこれを機として政界の人とならんも知るべからず。
憲政会の安達謙蔵,田中陸相の転地出発前に往訪のはずなりしにより,小笠原(長幹,伯爵,貴族院議員,研究会*)をして何を言いたるかを問わしめたるに安達は田中を攻撃したることを陳謝し,満鉄は事実なり,また山縣には極めて同情に堪えずなど言って結局山縣の感情を和らげ,憲政会の復興を計らんとの企ては有りと見ゆることなり。
原奎一郎編『原敬日記 第五巻 首相時代』福村出版,1981年,364頁 〔*は引用者註〕
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