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【百年ニュース】1921(大正10)5月13日(金)~15日(日) 第15太陽周期のピーク。太陽活動が活発化し世界中で異常観測。大規模な磁気嵐でカリフォルニア州で通信障害が発生。各地で天頂にオーロラが観測された。ニューヨーク鉄道は管制塔の配電盤で火災が発生し全面停止。欧州でも電話・電信が妨害された。
太陽の黒点は太陽磁場によって生み出されています。太陽の回転に伴い太陽の内部では巨大な電流が発生しており、局所的に磁力線がプラズマガスの対流を妨げると、その部分は表面温度が下がり黒点となります。よって黒点を観測することで太陽の磁場の変化を知ることが出来るわけです。
この年は第15太陽周期のピーク。すなわち1977年に太陽黒点の活動が記録され始めてから15回目の太陽黒点活動周期のピークとなりました。太陽の磁場活動が活発化し、世界中で異常が観測されました。大規模な磁気嵐でカリフォルニア州で通信障害が発生したほか、天頂にオーロラが観測されるという珍事が発生。ニューヨークでは鉄道の信号とスイッチングシステムが全面停止し、管制塔の配電盤が破壊されて火災が発生しました。またヨーロッパでも電話・電信が妨害されました。
日本でもこの年柿岡地磁気観測所の水平計の針が下方に振り切れ観測不能となりました。前年東京帝国大学理学博士号を取得したばかりの同所技師、国富信一(28)は英文でこの分析の論文発表され世界で注目されました。
國富信一「五月十三日より十七日に亘る磁氣嵐」『氣象集誌. 第1輯』1921年40巻7号
太陽活動周期は1755年に観測された黒点相対数の月別平均値から定義されています。そして100年前の1921年の第15太陽周期の異常現象はかなり大規模なものだったようです。
現在は第25太陽周期の始まり位置しており、極大期が訪れるのは4年後の2025年7月とされています。前回の第24太陽周期はここ100年で最も活動が弱かったとのことですが、NASAの発表によれば、今回の第25太陽周期も同程度と予測されており、低調なものになりなので、まずは一安心と言うところです。
4年後の極大期にあわせて、太陽風のサンプリング等の宇宙天気に特化した探査機「space Weather Follow-On L1」という衛星が2024年に打ち上げられる予定とのことです。
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