【百年ニュース】1921(大正10)10月10日(月) 小説家のジェームズ・クラベル(#JamesClavel)がオーストラリアで誕生。太平洋戦争では王立砲兵隊に従軍,日本軍の捕虜となりシンガポールのチャンギ収容所で過ごす。1975小説『将軍(Shōgun)』がヒット。1980ドラマ化され人気を博す。1994スイスで没,享年72。
小説家のジェームズ・クラベル(James Clavel)がオーストラリアのシドニーで誕生しました。父はイギリス海軍の将校としてオーストラリアに駐屯していたリチャード・チャールズ・クラベル。1922年に父のオーストラリア駐兵任務が完了すると、家族と共にイギリス本国に戻りました。
ジェームズはイギリス海軍の本拠地であるポーツマスで幼少教育を受けましたが、のちオーストラリアに戻り、1941年からの太平洋戦争中には王立砲兵隊に従軍し日本軍と戦いました。しかしシンガポール戦で日本軍の捕虜となりチャンギ刑務所に収容されます。
このチャンギ収容所はもともと、1936年に英国海峡植民地行政府によって定員600名の監獄として建築されたものですが、日本軍の占領中3000名が収容されたとされています。また近くにあった英国駐屯軍の兵舎、セララン兵舎にも50,000人の捕虜を収容し、約850名の死者が出ました。死亡率は27%。ジェームズ・クラベルはそのような環境を生き延び、戦後はバーミンガム大学に入学。そこで女優のエイプリル・ストライドと出会い結婚することとなります。
そして、妻の縁で映画業界に入ることとなり、数年間英国で脚本を書いたのち、1954年にはニューヨーク、次いでハリウッドに移りました。そして1963年戦争映画『大脱走』の脚本を書いて注目され、1966年には学園映画『いつも心に太陽を』の脚本および監督を務めました。
その後は小説家に転じ、江戸初期の日本について3年間の研究し、代表作となる小説『将軍』を執筆、1975年に発表しました。この小説は大ベストセラーとなり、1980年にはアメリカのテレビ局NBCでドラマ化されることになりました。江戸時代を舞台にイギリス人航海士ジョン・ブラックソーンが異文化のなかで生き抜く物語です。
この主人公はもちろん、ウィリアム・アダムス(三浦按針)をモデルにしていますが、誇張のある表現で史実とは大きくかけ離れています。このイギリス人ジョン・ブラックソーン、と徳川家康がモデルの将軍吉井虎長、そして細川ガラシャがモデルの戸田まり子、この三人が軸となる物語になっています。ドラマ化された際には、将軍吉井虎長は三船敏郎、そして戸田まり子は島田陽子が演じました。本多正信がモデルの家老、柏木矢部重はフランキー堺が演じました。
このドラマは日本でもテレビ放送されたほか、短縮版が劇場公開されて日本でも人気となりました。
なお今年6月のニュースになりますが、このドラマ『将軍』のリメイク版の製作が現在米国で進んでいるとのことです。来年2022年から放送され、将軍吉井虎長を演じるのは真田広之、戸田まり子を演じるのが澤井杏奈、家老の柏木矢部重を演じるのが浅野忠信とのことです。アメリカ流の大河ドラマというところで、日本でも放映されるものと思われます。たいへん楽しみです。
原作者のジェームズ・クラベルは、1994年9月7日、スイス・ジュネーブ湖の北岸の街ヴヴェイで癌により死去しました。享年は72歳でした。