「「量子論」を楽しむ本」 佐藤勝彦 監修 PHP文庫
今まで読んだ「量子論」「量子力学」の本の中で、一番わかりやすかったです。
ちなみに、「量子論」と「量子力学」が同じものではないと言うことを、この本で初めて知りました。
「量子論は、ミクロの世界に始まって自然界全体のしくみがどうなっているのかを表した「考え方」や「思想」です。一方で量子力学は、量子論に基づいて物理現象を記述するための「数学的な手段」なのです。p.29」
とのこと。
昔からわからなかった「電子がなんで原子核に落っこちていかないのだろうと言う疑問」も、次の説明で、なんとなく理解できました。
「電子のエネルギーには最低ラインがあり、それ以下にはけっしてなれないことを説明しました。つまり電子が原子核に吸い込まれないのは、この量子条件のおかげなのです。p.87」
そして、「量子論」に関して、これまで僕が勘違いしていたことも明らかになりました。
この本の中で、「ただしこれは「電子はA点とB点の両方に同時にいる」ということではありません。また「電子はA点かB点のどちらか一方にいるのだが、どちらにいるかはわからない、または確率的にしか言えない」のとも違います。「一個の電子がA点にいる」状態と「同じ一個の電子がB点にいる」状態が、同一の電子の中で重なり合って(共存して)いるのです。p.120」と、説明されている部分ですが、僕は、ずっと、「電子はA点かB点のどちらか一方にいるのだが、どちらにいるかはわからない、または確率的にしか言えない」と思っていましたが、これは、間違いだとのことでした。そうなると、シュレーディンガーの猫のお話がますますわからなくなってしまいます。
真空では粒子と反粒子がたえず生成・消滅していると言うことは、以前読んだことがあるので、知識として「知って」いましたが、「概念的または哲学的な意味での「無・ゼロ」は、物理的にあり得ないということも、量子論が明らかにした真実の一つです(p.212)」といいうことは理解していませんでした。
量子論は、ファインマンによれば、「量子論を利用できる人はたくさんいるが、量子論を理解している人は1人もいないだろう(p.225)」ということになりますが、その応用としては、超流動、超伝導、半導体に利用されていますし、今後も量子コンピュータもできるでしょう。
この本を読んで、「なるほど!ワクワクする世界だけど、よくわからないところもいっぱいある!」ということがわかりました。