
ジョーダン・クレッパー: 民主主義を守る方法 TED Talkより
ジョーダン・クレッパー: 民主主義を守る方法 あるコメディアンの見解
コメディアンのジョーダン・クレッパー(冗談のような名前ですが・・)が、これからの民主主義について語っています。皮肉が効いていて、面白いです。中には、彼のジョークの背景がわからないと笑えない部分があります。
最近の排他的なアメリカ、いや世界の雰囲気について、こんなふうに語っています。
And not just in America, globally, we're tuning people out.
米国だけでなく 世界中で私たちは 他人を排除して(無視して)います
「tuning out」 は句動詞で、「(音声や情報を)聞かないようにする」「無視する」「関心を持たなくなる」という意味
Partisanship has made talking to someone outside of your own POV traumatic.
「党派性の影響で、自分の視点とは異なる視点を持つ人と話すことが心的に負担となる状況を生んでいる。」
"Partisanship" とは、「党派性」や「党派心」と訳されます。特定の政党やグループ、イデオロギーに強く偏った立場を取ることを指します。
“POV”=”Point of View”
The cultural conversations we have are dictated by the forums we have them in.
「私たちが行う文化的な会話は、それが行われる場(フォーラム)によって左右される。」
どうも、多くの国で、二極分断の状態が発生しているわけですが、その分断を強化しているのが、ソーシャルメディアだと言えるでしょう。
The long answer is destroy the bias of social media and the cesspool of misinformation that is propagated by the entertainment machine that dominates our politics and discourse.
「長い答えとしては、ソーシャルメディアの偏見と、政治や議論を支配する娯楽産業が広めている虚偽情報の泥沼を破壊することだ。」
cesspool
直訳: 「汚水槽」「汚物の溜まり場」
比喩的に「腐敗」「堕落」「ひどい状態」を指します。
「a cesspool of misinformation」 は「虚偽情報の巣窟」「嘘や誤解が蔓延している場」を意味します。
discourse
「議論」「会話」「言説」という意味。
特に、あるテーマについての公的または社会的な議論を指します。
「our politics and discourse」 は「私たちの政治と議論」を意味します。
ソーシャルメディアなどの虚偽情報に惑わされないためには、
One, read a book.
1つ目は本を読むことです
Two, travel.
その2 旅行
And three, concede something.
そして3つ目は何かを譲歩することです
「concede」**は英語で、「認める」「譲歩する」「許す」という意味
本を読むのは・・・
You know, you're not as smart as you think you are, get inside the head of someone else.
「あなたは自分が思っているほど 賢くない。他人の頭の中を自分の頭の中に入り込ませよう。」
ということです。
そして、旅は・・・
You know, bias is reduced by travel.
「知ってるだろ? 旅行によって 偏見は減ります」
譲歩は最も大切なキーで・・・
You have to give something up.
「あなたは、何かをあきらめないといけない」
You're not as smart as you think you are.
「あなたは自分が思っているほど賢くない」
Concession is crucial to democracy.
「譲歩は民主主義にとって極めて重要です」
有効な手段である旅行について、ジョーダンはこのように言っています。
As a kid who grew up in Michigan,I hated Ohio.
「ミシガンで育った子供の頃、私はオハイオが大嫌いでした」
And then I traveled there, and you know what?
「それからそこへ旅行したけど なにが起きたか?」
I still hate Ohio.
「今でもオハイオは嫌いだ」
But now I know what Akron smells like.
「でもアクロン(都市名)がどんな においがするか分かった」
ここの意味がわからなかったので、ChatGPT先生に聞いてみました。
オハイオ州とミシガン州は、アメリカ合衆国の中西部に位置する隣接した州であり、歴史的にさまざまな面で関係があります。
歴史的背景: オハイオ・ミシガン戦争
1835年に両州の間で「トレド戦争」と呼ばれる領土争いが起きました。これはトレドという都市が属する地域を巡る争いで、武力衝突に発展する寸前までいきました。この出来事は現在でも両州間のライバル意識を象徴するエピソードとして語られています。
スポーツライバル
ミシガン大学とオハイオ州立大学のフットボールチームは、カレッジスポーツでの最大級のライバル関係を持っています。この競争は非常に激しく、ファンや州民の間でも熱意が高く、両州間の感情的な対立を煽る要因となっています。
文化やライフスタイルの違い
経済基盤:ミシガン州は特にデトロイトを中心に自動車産業が盛んで、工業的な色が強い。一方、オハイオ州は農業や製造業が広がる州で、より多様な経済基盤を持っています。
ライフスタイル:ミシガン州は五大湖に囲まれており、自然を楽しむライフスタイルが人気です。オハイオ州は比較的平坦な地形が多く、コミュニティ中心の生活が見られます。
文化的雰囲気:オハイオ州はアメリカの典型的な中西部の文化を反映しており、保守的な傾向があると言われます。一方、ミシガン州はデトロイトの影響で音楽やアートの面での多様性が強調されることがあります。
Akronの匂いの意味と皮肉について
Akron(アクロン)はオハイオ州にある都市で、かつて「タイヤの首都」と呼ばれたように、自動車用タイヤ産業で知られています。ラバー(ゴム)産業が盛んだったため、工場の匂い(特有のゴム臭)を指している可能性が高いです。
この表現には皮肉が含まれていると考えられます:
ユーモアと皮肉:
「旅行したけど嫌いな気持ちは変わらない」という皮肉の中で、「でも一つだけ新しく知ったことがある」として匂いを挙げています。つまり、「旅行の経験が嫌いな気持ちを改善しなかった」という軽いジョークの形です。
都市の象徴的イメージ:
アクロンの匂いが具体的なもの(ゴム工場の匂い)であれ、抽象的なもの(都市の雰囲気)であれ、「その都市に実際行ったことで得られる印象」を象徴的に表現していると考えられます。
この文章全体は、軽妙な皮肉を込めて地域のライバル関係や個人的な感情を語る、中西部特有のユーモアの一例と捉えられます。
なるほど・・・ですね。
そして、人は、よく見られたい。今流行りの「承認欲求」ってやつです。
Like many of us, I find my desire to be seen as smart outweighs my desire to shut up when I don't know what I'm talking about.
「多くの人と同じように、私は自分が賢く見られたいという願望が、自分がよく知らないことについて黙っているべきだという気持ちを上回ることに気づく。」
outweighs my desire to shut up 「黙っているという自分の願望を上回る」
・・・まあ、人は、知ったかぶりしたがるものです。
そして、勝ち負けにこだわります。
When you make politics a sport, then everything becomes win or lose, every conversation becomes a negotiation over field position.
「政治をスポーツのように捉えると、すべてが勝ち負けの問題になり、すべての会話がフィールド上の位置を巡る交渉になってしまう。」
人は、確実な答えを求めます。
We think our strongest weapon is our certainty.
「最強の武器は確実性だと 私たちは考えています」
でも・・・
But the most relatable thing about us is our failure.
しかし私たちについて 最も共感できるのは失敗談です
「relatable」、「共感できる」「親近感が持てる」という意味
そして、アメリカは夫婦喧嘩をしているようなものだと、ジョーダンは言います。
And democracy in a bipartisan country is like a marriage.
「そして2党国家の民主主義は 結婚のようなものです」
ここから、ジョーダンの皮肉が炸裂。
Republicans, maybe vaccines aren't the work of the devil.
「共和党支持の皆さん、ワクチンは悪魔の仕業ではないかもしれませんよ。」
文の意味とニュアンス
「Republicans」
これはアメリカの共和党(Republican Party)の支持者やそのイデオロギーを指しています。共和党の一部支持層では、科学やワクチンに対する懐疑的な態度が議論されることがあります。
「maybe vaccines aren't the work of the devil」
「ワクチンが悪魔の仕業ではない」という表現は皮肉を含んでいます。
ワクチン反対派や陰謀論者の一部には、ワクチンを非常に否定的、時には宗教的な観点で悪と見なす人もいるという背景があります。この文はそういった態度に対する揶揄や挑発的な発言です。
Democrats, maybe Portland does suck.
「民主党支持の皆さん、多分ポートランドは最悪だ」
ここで笑いが起こるのですが、ポートランドについてわかってないと笑えません。僕も笑えなかったので、調べました。
「Democrats」
アメリカの民主党(Democratic Party)の支持者やそのイデオロギーを指しています。
ポートランド(オレゴン州の都市)は、自由主義的、進歩主義的な価値観が強く、民主党支持者が多い地域として知られています。
「maybe Portland does suck」
「ポートランドは本当にひどい場所なのかもしれない」という表現。
「suck」は俗語で、「ひどい」「最悪だ」といった意味。ここでは、ポートランドに対する批判的な意見を仄めかしています。
なるほど・・・ですね。
ついでに?ジョーダンはカナダも皮肉っています。
Canada, Canada, it's 2023, you can’t call your police “Mounties.”
カナダよ 今は2023年 警官をMounties(騎馬警官の愛称) と呼んではいけません
「Mounties」
「Mounties」はカナダの「王立カナダ騎馬警察(Royal Canadian Mounted Police: RCMP)」の通称。
歴史的には馬に乗る警察官というイメージが強く、カナダを象徴する伝統的な存在として知られています。しかし、現代では馬を使うことは稀であり、この呼び方が時代遅れに感じられることがあります。
そして、対立を緩和するには・・・
We need to, we need to concede a little on everything.
「 我々は、少し敗北を認めないといけない」
That's a no-brainer.
「それは当たり前のことです」
「no-brainer」 はスラングで、「考えるまでもない簡単なこと」「明らかに正しい選択肢」という意味です。
次の文章は、2020年の大統領選のことを言っているのですが、2024年も同じか、ある面もっと酷かったと、僕は思っています。
In America, there's a big chunk of the population right now who hasn't conceded the last presidential election.
「今、アメリカでは、大部分の国民が、前回の大統領選挙結果で 譲歩していない」
「chunk of」 は英語で「~の一部」「~のかたまり」「~の大量」という意味で使われるフレーズです。
アメリカの民主主義が生き残るためには・・・
What I think, in order for American democracy to survive, we need a culture of vulnerability, or at least a space in that culture for vulnerability.
「私が思うにアメリカの民主主義が 存続するには 脆弱性の文化が必要です あるいは少なくとも文化の中に脆弱性 を許容する余地が必要です」
途中、こんな表現が出てきます。
The proof is in the pudding.
その証拠はプリンにあります
「The proof is in the pudding」 は、英語のことわざで、「結果がすべてを証明する」という意味です。
譲歩するのが嫌いな人は、どうすればいいか?
And if conceding is too much for you, if that feels weak, OK, don't think of it as conceding.
「もし譲歩するのがあなたには負担に感じたり、それが弱さのように感じるなら、いいですよ。譲歩だとは考えなくて構いません。」
Think of it as gamesmanship.
「駆け引きと考えましょう」
「gamesmanship」 は英語で、「試合や競争での駆け引き」「心理的優位を得るための戦略」という意味を持つ名詞です。スポーツやビジネス、政治など、競争が絡む状況で使われる言葉です。
Hypnotize them with your humility.
「謙虚さで彼らに催眠術をかけてください」
Distract them with your failure.
「あなたの失敗で 彼らの気を逸らしてください」
そして、結論は・・・
In the game of democracy, in order to win, we may have to start with a loss.
民主主義のゲームで勝つためには 負けから始めないといけないかもしれません
「勝ちにこだわるな。譲歩するところは譲歩しろ」ってことですね。さてさて、人間がそこまで賢いかどうか・・・。
